著者 : 麻倉英理也
魔剣レイナ=ネクロノムスとの死闘を越え乙女の花園での戦いは最終局面を迎える。生徒会長ウツロの一撃により外部からラス共和国の騎士達の侵入を許してしまい、ガーデン内の空気は一気にきな臭くなり始めていた。激怒したクルルギが釘を刺しに行くが、風変わりで強気な騎士隊長アフロディーテは引かず、ガーデンと騎士隊はいつ衝突してもおかしくない状況下に置かれていた。一方、学園内にも不穏な気配が忍び寄る。共和国の騎士達の乱入に危機感を覚えたアカシャとハイネスは、自らの目的を果たす為にウツロの襲撃を決意、それを阻もうとするオルフェウスと激突する。
「戦う乙女達の庭園」という呼び名に偽りはなかった。生徒会役員の一人、アントワネットの凶行を退けたのも束の間、今度は風紀委員を名乗る連中がアルトとテイタニアの前に現れた。学園の治安を守る名目で一戦交えると思っていたが、風紀委員長のニィナは生徒会長のウツロと対立する立場で、彼女をその座から引きずり下ろす為に囚われたアントワネットの対話を、悪事を暴いたアルト達に対する筋道を通す為に現れたのだ。学園内の権力闘争には興味は無いが、ウツロには外敵因子と関わりの疑惑があり、何よりも負けっ放しなのは癪に障るので、とある条件をつけたのだがー。
目覚めるとアルトは少女に、ロザリンは大人の体になっていた。どうすれば良いのか頭を悩ます二人の前に現れたのは、ガーデンと呼ばれる場所からやってきたクルルギと名乗る戦闘メイド。彼女に導かれ愛の女神マドエルが作り出した異界の国家ガーデンを訪れた二人に、元の姿に戻る方法として課せられたのは、外敵因子と呼ばれる存在を見つけ出し排除すること。断ることも出来ない状況でアルトは仕方なく、女学生としてアルストロメリア女学園に編入することになってしまった。女学園と聞けば男子なら鼻の下を伸ばしたくなるが、残念ながら女学園は癖と腕っぷしが強い生徒ばかりだった。
ついに開幕する太陽祭。賑々しく盛り上がる王都の人々とは裏腹に、手に入れた大金を借金の返済で全て失ってしまい不貞腐れるアルトは、気晴らしにロザリンと共に祭りの見物に出掛ける。初めての太陽祭にはしゃぐロザリンにつき合う内に、アルトの気分も晴れてきた。だが、楽しい気分に水を差すように現れのたは、フレアと名乗る騎士の少女。どうやらシリウスと同じ騎士団の副団長らしいが、何故だかアルトに対して敵意剥き出し。更には防毒マスクで顔を隠した奇妙な騎士ワイズマンも出てきて、アルト達は理由もわからず騎士団総団長ゲオルグに、水晶宮へ出頭するよう要請を受けるのだがー。
炎神の呪いが解けたミューレリアは意識を取り戻したが、炎神の焔の影響で、記憶を失ってしまっていた。友人を救いたいラサラは、体に埋め込まれた結晶を取り除けないかと縋るのだが、医師から現代の技術では不可能だと告げられてしまう。しかし同時に、不可能を可能にする闇医者の存在を教えてもらう。早速その闇医者に会いに行こうとするアルト達の前に立ちはだかったのは、一連の事件の黒幕、ボルドだった。婚約者としてミューレリアの身柄を押さえようとするボルドに対抗し、ラサラはオークションの準備と称して、敵陣であるクロフォード家への逗留を申し出るのだったー。
フランチェスカとの対立を終えたアルトの元に、北街の情報屋ルン=シュオンが訪れる。毎年西街で行われる商業ギルド主催のオークションの責任者が、短期間で次々に殺害されているのだという。犯行声明文に書かれている犯人の名前は「暗殺者ハウンド」。それは、王都で知らない者はいない伝説の暗殺者だった。そこでルンはアルトに、オークションの次の責任者になったラサラカンパニーの社長、ラサラ=ハーウェイの護衛を持ちかけてくる。背負った借金のこともあり、とりあえず話だけでも聞くことにしたアルトだったがー「どの程度役に立つかはわかりませんけど、貴方にボクを守るという栄誉を与えます」-ラサラはかなりクセの強い性格の少女だった。
野望の少女フランチェスカ=フランシール。貴族派の筆頭として王族派と対立する影の実力者が、その野望と野心を剥き出しにする時がやってきた。太陽祭を一ヶ月後に控え、賑やかさを増す王都の裏側でひっそりと謀略が侵食していく。強力な魔術兵装『久遠院』を使用して、水晶宮を破壊し国家神である水神リューリカが眠る寝所へ足を踏み入れようと企むフランチェスカ。しかし、それを阻止せんとエンフィール王国騎士団最強にして美しき戦乙女、英雄シリウス=M=アーレンが立ち上がるのだった。
奇妙な共同生活を始めた野良犬騎士アルトと小さな魔女ロザリン。大人と子供とはいえ二人が同じ部屋で暮らすのには問題がある。かざはな亭の風紀を守る為、またはカトレアの嫉妬心をこれ以上暮らせないため、アルトは新たな住まいとロリコン疑惑からの脱却を求めて、能天気通りの顔役で冒険者ギルドの頭取を頼ることにした。しかし、これが不運にもアルトの今後を左右する厄の糧となってしまうのだった。新しい住居を提供する条件として、アルトは頭取からある頼み事を依頼されるのだがー。
水神の加護に抱かれた水と大河の国エンフィール王国。その王都に暮らす青年アルトが、かつて騎士として戦場を駆けていたのも今は昔、現在はその日暮らしの風来坊。金なし地位なし甲斐性なし、仲間内からは「野良犬騎士」と揶揄されていた。そんなある日、アルトはスラム街で誘拐されかけた少女ロザリンを助ける。少女は右目に“ウイッチクラフト”と呼ばれる特別な力を宿し、「小さな魔女」と呼ばれていた。彼女は生き別れとなった母親を探す為に王都へやってきたのだった。高級牛肉につられて母親探しを手伝うことになったアルトは、わずかな手がかりを頼りに捜索を開始するのだがー。