今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。3 3年分の「ありがとう」だよ、先輩 (3)
生原小織。怪しげな露天商ナナさんの店でバイトをしている、正体不明・詳細不明・神出鬼没の後輩……のはずだった。そんな彼女が、病院で眠り続ける「思い出せない僕の親友」と同じ名前・顔をしているという。この不可思議な状況、「生原小織」は間違いなく《星の涙》を使っている、はずだ。
「私のーー生原小織の願いを否定してほしいんだ」
僕は何もかもを忘れてしまっていた。「生原小織」の素顔、口調、性格、彼女と僕の関係。彼女が何を想い、何を願って《星の涙》に縋ってしまったのか。それら全てに、全ての感情に蓋をしてきたのだ。そしてーーそもそも対価を払ったのは誰だったのか、ということにも。