ひとりぼっちのソユーズ 君と月と恋、ときどき猫のお話
幼いころに出会った外国の女の子ユーリヤ。彼女は僕にとって特別な女の子で、小さな世界の女王だった。彼女は僕を「スプートニク」と呼び、二人で月を見上げて、国境のない静かな世界に憧れた。そんな僕たちも、少しずつ大人になっていく。やがて彼女は気づいてしまった。自分が特別ではないこと、けれどみんなとは違うこと。そして彼女の抱える病が、宇宙への夢を閉ざしていることに。だから、あの月の綺麗な夜ー僕は思ったんだ。僕が君を月に連れて行くんだって。もう君を、ひとりぼっちにしないために。