後宮の薫香妃
「贖罪妃」薫香は祖先の罪を理由に後宮に幽閉されている。ある日、めったに人など訪れない自分の宮の前で宦官・黒曜が倒れていた。彼を介抱した薫香は、皇帝の赦しを得て一族の立場を回復したいと協力を頼む。一蹴されるが、薫香は黒曜の《秘密》を言い当てる。その根拠は「におい」。並外れた嗅覚に目をつけた黒曜は協力を承諾する。
翌日、薫香は一躍皇后候補となっていた。皇后になれば全てが叶うはずと語る黒曜の策略だ。しかし早速試練が。薫香は、皇后を目指す曲者ぞろいの四妃の前で、香の嗅ぎ当てに挑むこととなりーー。
==人物紹介==
薫香(くんこう)
後宮に幽閉された「贖罪妃」。
皇帝に祖先の罪を赦してもらうことを望んでいる。
並外れた嗅覚をもつ、においマニア。
黒曜(こくよう)
美貌の宦官。
嗅覚を失っており、薫香に探してほしい「におい」があるらしいがーー。
不遜な性格。
東けい妃(とうけいひ) ※「けい」はくさかんむりに「惠」
凛とした美しさをもつ威厳のある妃。
北麗妃(ほくれいひ)
武術に優れる豪胆な妃。
西華妃(せいかひ)
計算高く、策謀を好む妃。
南貴妃(なんきひ)
いちばん年若い妃。南の王家の養女。
目次
序章 消えないにおい
第一章 贖罪妃と四人の妃
第二章 後宮に化け猫は香る
第三章 殺人現場は沈香の香り
第四章 予期せぬ幸運と思わぬ災禍
第五章 香る死体と妃の退場
終章 それぞれの哀悼