血翼王亡命譚(1)
“私は駄目な王女だからね。自分のために命を使いたいの”耀天祭の終わり、赤燕の国の第一王女が失踪したー。だが、それは嘘だと俺は知っている。太陽を祀る五日間、彼女は王族の在り方に抗い、その想いを尽くしただけ…。突如国を追われた王女アルナリス、刀を振るうしか能のない幼馴染みの護衛ユウファ、猫の血を秘めた放浪娘イルナに人語を解する燕のスゥと軍犬のベオル。森と獣に彩られた「赤燕の国」を、奇妙な顔ぶれで旅することになった一行。予期せぬ策謀と逃走の果て、国を揺るがす真実を目にした時、彼らが胸に宿した祈りとはー。これは歴史の影に消えた、儚き恋の亡命譚。第22回電撃小説大賞“銀賞”受賞作!
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血翼王亡命譚(2)血翼王亡命譚(2)
王女と護舞官が失踪したー。そう記された歴史の影で、それでも二人の物語は続いていく。「翼」と呼ばれる古代遺産を探す猫耳娘のイルナに誘われ、ユウファたちはかつて翼人が繁栄を極めたとされる秘境ナサンゴラへ向かうことに。亡命で全てを失い、言血の記憶が呼び起こす終わりなき悪夢に苛まれながらも、ユウファは様々な出会いを通し、己の宿命を見つめ直す。しかし旅の果てに待ち受けていたのは、街全体が湖の底へ沈むという突然の凶報。一行の運命は「親子」を巡る長大な悲劇へと呑み込まれていく。そしてその時、ユウファとアルナ、二人を繋ぐ大いなる因果が静かに胎動を始めていたー。 2016/06/10 発売