ふわふわさんがふる
この星にはふわふわさんという存在がある。生き物かどうかは今のところ分からない。でも、人の形をしてこの地に立つ。すべてのふわふわさんは、失われた者の姿を真似して、存在する。僕としては、いわゆる『よみがえり』なんてものは信じていないけれど…。目の前で、綿毛が渦を巻き、幼い少女が現れた。『ふわふわさん773』。僕は思考のノイズに延々、苛まれ続ける。あれは見間違えるはずもなく。十年前に僕の世界から失われた、ねえさんだった。『電波女』の入間人間が描く、白く儚いセンチメタル・ストーリー。