湯屋の怪異とカラクリ奇譚
その湯屋は、いい湯と不思議にあふれてる。
東の都にある大きな湯屋は、安いし広いし湯加減も良い。繁盛しているが、誰もそこで働く人間を知らないという。
だが、なぜかその湯屋の奉公人として選ばれた佐吉は、そこが妖怪によって営まれていることを知る。番頭の闇二や妖の一夜と三夜、また子供の落書きのような小さな謎の存在"件"に揉まれながら、佐吉は苦労しつつも新鮮な日々を送っていく。
そして、一人のカラクリ技師との出会いが佐吉の運命の新たな扉を開く。人と妖怪、その秘密に近づいた佐吉は何を選び取るのか?
人と妖怪が織りなすおかしくてあたたかで不思議な物語。