賭博師は祈らない(3)
ノーマンズランドでの負傷も癒え、ようやく当初の目的地バースにやってきたラザルスとリーラ。村から付いてきた地主のエディスとメイドのフィリーも道連れに、気侭で怠惰な観光を洒落込むつもりだったが、一つ誤算があった。温泉とギャンブルが名物のこの街で目下勃発しているのは、賭博を司る儀典長と副儀典長による熾烈な権力争い。バースへの道中で出会った知人からは忠告を受けるも、時すでに遅し。温泉から宿に戻ってみると、部屋には荒らされた形跡。そして一人横たわる血まみれの少女。面倒事の匂いに辟易としながらもラザルスは彼女を保護する。それは、陰謀張り巡らされたバースにおける長い戦いの幕開けであった。
関連ラノベ
十八世紀末、ロンドン。賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。-それは、奴隷の少女だった。喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想い通わせていくが…。やがて訪れるのは二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。第23回電撃小説大賞・金賞受賞作! 2017/03/10 発売
奴隷の少女リーラの救出劇から一週間。賭場を負かし一人の女を守った代償はしかし大きかった。「負けない、勝たない」をモットーにしていたラザルスは賭場に出向くこともできなくなり、帝都を旅立つことを決める。それは、少しずつ心を開き始めたリーラを連れての道楽旅行になるはずだったが…。道中立ち寄った村でラザルスを待ち受けていたのは、さる事情で窮地にある地主の娘エディスからの突然の求婚だった。一方、リーラは二人のやりとりを覗いてしまい、自分はラザルスにとって不要なのではないかと想い悩み始める。「奴隷」である彼女が出した結論とはー。少女たちの想いを受け、やがてラザルスは危険なギャンブルに打って出る。 2017/08/10 発売
バースでの長逗留を終え、ようやくロンドンに帰還したラザルス。リーラは徐々に感情豊かになり、観光がてらついてきたエディス達との交流も続く。賭場の馴染みからは、そんな関係を冷やかされる始末。ラザルスは賭博師として日銭を稼ぐいつもの生活へと回帰していく。だが幸福そうに見えるラザルスの心を陰らせるひとつの懸念ー。リーラという守るべき大切なものを得たが故に、彼の賭博師としての冷徹さには確実に鈍りが生じていた。裏社会の大物や警察組織にも目を付けられつつも、毎日を凌いでいたラザルスだったが…。そしてかつての恋人である賭博師・フランセスとの因縁が、ラザルスに決定的な破滅をもたらすことになる。 2018/06/09 発売
ロンドンの裏社会を牛耳るジョナサンと対立し、一度はすべてを失ったラザルス。だが賭博師としての矜持を奪われ、地の底を這いつくばったその先で、彼は自らが進むべき新たな境地へと辿り着く。再起したラザルスはフランセスにも勝利し、ジョナサンとの全面対決を掲げた。かつて帝都にいた友人たちが残した、ちっぽけな約束を守るためだけに。一方、ラザルスの無事に安堵したリーラだったが、彼女は故郷へ帰る為の乗船券を渡されたことに戸惑い、自分が主人に対して抱いていた想いに気付かされる。-『私は、ご主人様が好きです』そしてラザルスはリーラとの関係にひとつの答えを出すことに。二人の物語に訪れる結末は、果たして。 2019/01/10 発売