あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince(1)
世界中でこの宿星市にだけ咲いている奇跡の花“ミラクーティア”には、一年に一度、対価を支払えば白い神様が願いを叶えてくれるという言い伝えがある。だけど、あの日、神様がわたしに課したのは、対価ではなく一つの試練だった。ねえ、叶羽くん。君は知らないでしょう。試練によって灰色に染まったこの世界で、君の声が、君と見ていた世界が、わたしの“ヒカリ”だったなんて。君は、少し意地悪な後輩で。口が悪くて、お姉さん子で。それから、わたしの涙を拭ってくれた、たった一人の男の子。いつか、わたしは君の前で綺麗に笑えるのかな。笑い、たいな。これは、紡いだ願いが奇跡によって彩られる、わたしたちのとても大切な物語。