死にたがりの聖女に幸せな終末を。(1)
日常は少しずつ、ただ破滅へと進んでいく……。
「連邦」と「帝政圏」の戦争。泥沼化した戦局を打破するため、「連邦」側はある禁忌に手を染めた。
生み出されたモノの名は、『聖女』。
短命という代償と引き換えに強力な異能を保有する少女型人工生命体。
しかし長い闘争が両国に大きな疲弊を生み、無し崩し的な終戦が見え始めると、彼女たちの本格的な投入は見送られーーついには『箱庭』と呼ばれた秘匿訓練施設ごと抹消、闇に葬られようとしていた。
調律官ーー『聖女』たちの体調管理を目的とした医官ーーとして赴任した“私”の視点から、少女たちの「最期」の日々を綴るファンタジー・ドキュメント。