学園の聖女が俺の隣で黒魔術をしています(1)
なにが青春だ。どいつもこいつも、恋だの部活だの遊びだの、楽しそうにしやがって。俺には友達もいない。恋人もいない。部活にだって入ってない。青春なんて、くそだっ。-そう思っていた。彼女に出会うまでは。汚れた階段。床が抜けそうな廊下。そんな古びた無人の旧校舎に、冥先輩がいた。黒い三角帽とロープをまとい、黒魔術で人を呪うことに余念がない。耳にかかる艶やかな髪をかきあげ、海のように深い瞳で俺を見て、はにかむ。「呪っちゃうからね」空が青く澄みわたり、桜舞う春。入学したばかりの高校で巡り会った、あの無垢な笑顔を、大人になった今も俺は忘れられない。