異世界誕生 2006
2006年、春。小学六年の嶋田チカは、前年トラックにはねられて死んだ兄・タカシの分まで夕飯を用意する母のフミエにうんざりしていた。たいていのことは我慢できたチカだが、最近始まった母の趣味には心底困っている。フミエはPCをたどたどしく操作し、タカシの遺したプロットを元に小説を書いていた。タカシが異世界に転生し、現世での知識を武器に魔王に立ち向かうファンタジー小説だ。執筆をやめさせたいチカは、兄をはねた元運転手の片山に相談する。しかし片山はフミエの小説に魅了され、チカにある提案をするー。どことなく空虚な時代、しかし、熱い時代。混沌を極めるネットの海に、愛が、罪が、想いが寄り集まって、“異世界”が産声を上げる。
関連ラノベ
異世界誕生 2007異世界誕生 2007
2007年、夏。中学一年の嶋田チカは、幼馴染の藤岡キョウヤから、長らく入院していた妹のハルナが帰ってきたので会ってほしいと頼まれる。ハルナは痩せ細り、とても健康そうには見えない。彼女の懇願を受け、チカは前年母が書いた「タカシの冒険」の内容を語って聞かせる。大喜びのハルナに続きが聞きたいとせがまれ困惑するチカに、キョウヤはそっと告げる。「ハルナは、もうすぐ死ぬ」。同じ頃、引きこもりでニートの作家志望の青年・西藤リクは、世界と自分を憎み、絶望して、二ヵ月後に自殺することを決意していた。“物語”に迷い込む中学生とヒキニート。暴かれる、一人の騎士の真実。ネットを介して命と想いが繋がる時、異世界の扉が再び開く。 2019/11/01 発売