鳥のように、愛のように
描きかけの画用紙を風がさらっていく。夏休み最後の水曜日、夕暮れの公園。わたしは夢中でその絵を追って、走る。ぴた、と風がやんだ瞬間、わたしの目の前に自動車が迫っていた。でも、わたしは男の子に強引に引きよせられて、助けられていた。男の子の髪は、太陽に乾かしたタオルのような匂いがした。心臓の鼓動がおさまらない。彼の名前は、貴生。わたしの初恋のはじまりだった。
描きかけの画用紙を風がさらっていく。夏休み最後の水曜日、夕暮れの公園。わたしは夢中でその絵を追って、走る。ぴた、と風がやんだ瞬間、わたしの目の前に自動車が迫っていた。でも、わたしは男の子に強引に引きよせられて、助けられていた。男の子の髪は、太陽に乾かしたタオルのような匂いがした。心臓の鼓動がおさまらない。彼の名前は、貴生。わたしの初恋のはじまりだった。