魔人の少女を救うもの
神は、二人のささやか過ぎる願いすら赦さないーー
これは、正邪を超えて運命に抗う、少女の物語。
これは、人であることを棄てて英雄に挑んだ、少年の物語。
「弱くてもいい。あなたがいいの」
ウィズにはわからなかった。偶然出会っただけの少女アローンがなぜ自分を慕うのか。彼は凡夫で、秀でた才能もない二流の傭兵。遠い故郷を目指すアローンの護衛役にはふさわしくない、そう思っていたが……。
「……同じだったから。あなたもわたしも同じ……選ばれなかった人間」
少女が告げる言葉の意味、そして待ち受ける残酷な運命を知ったときーーウィズは決意する。守りたい……守ってみせる。たとえかつての親
友、救世の英雄を敵に回してもーー
これは『選ばれなかった少年』と『見放された少女』が紡ぐ、誰も知らない“世界の裏”の英雄譚。第9回GA文庫大賞<優秀賞>作品。