月の誓約と原書の姫
「ねえ…。手をつながない?」いつも通り何の脈絡もなく、幼馴染みの天辻夜火が口にした。ツクミのいつも通りの平穏な放課後ー。幼馴染みのわがままを、面倒くさがりながらも断れないごく平凡な高校生・司馬尽海の平穏は、『月の卵』を手にしたときから一変する。『月の卵』を狙う「夜の種族」に襲われ逃亡する中で、ツクミは世界の真実を知ってしまう。太陽のない空。強大な魔力を統べる「月光原書」の存在。そしてヨカが抱える秘密ー。ツクミの世界が音を立てて崩れる中、ただひとつ彼に残されたのは、幼きあの夜、少女と交わした約束だけー。