1996年2月5日発売
美奈子は、温泉でのんびりお肌ツヤツヤにしようと、知人の不動産会社の保養所へ。ところが、社長の遺体が露天風呂で発見された。足を滑らせて頭を打った事故だと思われたけど、なんと凍傷が。真冬でも、めったに雪の降らない南紀白浜なのに、まさか、雪おんなの仕業…。遺産を狙った犯行、仕事上のトラブル…。そして、ほぼ同時刻、遠く離れた雪の別荘地で、もう一つの事件が起きていたの。
あたし、竹原香純。高校1年。片思いしてるのは、同じクラスの藤平信一くん。あたし、藤平くんの気持ちが知りたくて、恋占いしたり、おまじないをしたり、恋愛マニュアル本を読んだりしたんだけど…なにをやっても、悪い結果しか出ないの…。しかも、藤平くんの決定的な言葉-竹原のこと見てると、イライラするんだよ-。あたし、告白もできずに失恋しちゃったみたい…あきらめるしかない…よね…。
父は、ケーキ屋をはじめることを夢見て、志なかばにして逝ってしまった。その夢を、母とわたしが実現するの。味覚まったくダメの母と、フツーの高一のわたしが頼れるのは、父が遺したレシピ帳だけ。このままじゃ、ケーキ工房『お菓子の家』は看板だおれの危機。そんなとき、救いの神が。口は悪いが、とことん職人気質の青年と、15歳少女のケーキ屋奮戦記。津原やすみ流チョッピリ甘いロマンチック・ストーリー。
「あ…あんた」そいつは、このあいだ、私がチカンと間違えた男の子だった。あいかわらずボロボロのコート姿だ。「またあんたね。こんなとこうろつかないでよ。私には探偵さんに会うっていう大切な用事があるんだから」「あの、探偵なら、もうここに来ています」「ええっ」私は絶句した。こいつが、探偵。
4月が来れば、最上級生。中2って、そんな“ぱふぱふ”気分じゃなあい。あたし小森美香も、まあそんなノリの毎日ではあるんだけど。もっと「絶好調」でカッとばしてるのが、いちおー親友の笠原絵津子。勉強は、ともかくとして。不意にミョーなファッションに走るワ、センパイとトラブル起こすワ、クラスで孤立するワ、もー、タイヘン。このエッちゃんの言動に、あたしも巻きこまれて、うろうろオロオロ。パニックだよお。
恭国は、先王が斃(たお)れてから27年。王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。 首都連檣(れんしょう)に住む珠晶は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女(むすめ)は、王を選ぶ麒麟(きりん)に天意を諮(はか)るため、ついに蓬山(ほうざん)をめざす! 珠晶、12歳の決断「恭国(このくに)を統べるのは、あたししかいない!!」