2015年5月23日発売
昔ながらの工房が軒を連ねる、東京は浅草の職人街。魔法使いがいると噂の革工房『ハイカラ工房』を覗いてみれば、今日も無骨な青年が、熱心に仕事に打ち込んでいる。工房を切り盛りする店主は、若き革職人・神崎時宗。目つきの悪さが際立つ風貌とは裏腹に、腕は確かで仕事は丁寧。その巧みな腕前で、工房に持ち込まれる、曰く付きの革製品と、そこに籠められた人びとの想いまで、たちどころに修理してしまうらしい。彼が持つ魔法のような技術には、秘密があるようだー。
色とりどりの瓶が並べられた、まるで博物館を思わせるような研究所。ここでは空に還るたましいを、ガラス瓶に保存してくれる。そして不思議なことに、瓶に閉じ込められたたましいは、人生で最も鮮烈な、想い出の色に染まる。だから、この研究所には想いと事情を抱えた人々がやってくる。たましいの色に込められた、一番大切な人の、最後のメッセージを求めて。「ついに、来てしまったわ。-昌樹、許してくれる?」今日もまた一人の女性が、願いを胸に研究所を訪れー。
働きすぎて階段から落ちた平凡なOLの貴子。目覚めた先は、三途の川のほとりだった。悲嘆に暮れる貴子の前に、この世の者とは思えない美しい青年・三瀬川が現れる。彼の額には、二本の角があった。有無を言わせず貴子を連れて三瀬川が向かったのは、江戸情緒溢れる不思議な町。彼はそこでカウンセリングルームを営んでおり、貴子に助手をしてほしいのだという。地獄薀蓄も満載。毒舌だけど癒し系、冥界カウンセラー三瀬川さんによる、地獄の住人たちの相談受付始まります。
作家として人生崖っぷちな妖怪小説家・緒方司貴が訪れたのは、妖怪と縁深い遠野の旅館「迷家荘」。座敷童子がいると噂の旅館に起死回生のネタ探しに来たはずが、なぜか「座敷童子の代理人」として旅館に集まる妖怪たちのお悩み解決をすることに!?そこで偶然出会ったおしゃまな妖怪少年の力で妖怪が見えるようになった司貴は、陽気な河童や捻くれ妖狐が持ち込むおかしな事件を経て、妖怪たちと心を通わせていく。だが、そんな司貴を導く不思議な少年にも、何やら隠しごとがあるようで…。
西荻窪。東京23区内にあるのに、どこかゆるりとした時間の流れるレトロな街。そんな街の片隅に、いまどきちょっと懐かしいラジオ局があった。放送範囲は西荻窪駅から半径数百メートル。担当するのは、夢破れてしまった大学生三人組。それぞれに夢を抱えつつも足踏みしている三人が、何かの拍子に放送を耳にしたリスナーのご相談を解決したりしなかったり、たまには夢を叶えたり。今日もにぎやかに放送中の街角ラジオ、あなたも聴いてみてください。