作者 : 宮下英樹
人生の最期に、天下人は何を望むのか。類稀なる才能をもって戦国を駆け抜けた傑物・豊臣秀吉。すべてを手に入れた男の命の灯火はまもなく尽きようとしていた‥‥。時代は大きな変わり目に差し掛かり、誰もが皆“別離”に直面するーー豊臣秀吉は、そして仙石権兵衛は、如何にして戦国時代に別れを告げるのか。大長編歴史絵巻は、いよいよ佳境へ。
文禄の役ーー渡海先に待つ過酷なる現実!! 泥沼化する明国侵攻への道ーー。渡海軍が疲弊してゆく中、秀吉は自身の渡海延期を繰り返していた……。膠着した戦局を打開すべく、秀吉は明国との講和と貿易権の獲得に一縷の望みをかけ虚々実々の外交交渉に臨む!!
唐入りを急ぐ豊臣秀吉の命により、名護屋の地に築かれた城塞都市に、空前絶後の大軍が集められる。諸大名の支配を固める天下人・秀吉をさらなる野望へと駆り立てるのは、掌の上の巨大な権力か、理不尽に降りかかった肉親の死か、あるいは人知を超えた運命の歯車か。 望む”世界”をその手に収めるべく、今、大軍勢が海を渡る!!
家祖宗瑞より百年の時を経て、北条五代の築き上げし「法の国」が、今まさに豊臣秀吉の「銭の大国」に飲み込まれんとする折、秀吉のもとを訪れたのは、奥州の若き傑物・伊達政宗!! この地に集うすべての武将が「時代の終焉」の気配を感じ取る。応仁の乱より続いた戦国の世は、いかなる終わりを迎えるのか!? 運命の小田原合戦、ここに終結!!
決戦地は小田原城早川虎口。対岸から豊臣秀吉が見下ろす戦場に、最前線で槍を振り回す懐かしき猪武者の姿があった!! 敵将 笠原正巌の巧みな用兵の前に、仙石権兵衛は苦戦を強いられるが、旧き戦友や志を重ねる牢人衆とともに、一つまた一つと関門を突破してゆく。失ったものを取り返すため、そして新たな生き様を示すため、鈴鳴り武者は戦場を駆け抜ける!! 激動の戦国を生き抜いた、武将たちの群像、ここにあり!!
豊臣軍による小田原攻め、20万という空前の大軍勢の中に、未だ武功の無い仙石権兵衛の姿もあった。「ヤマイヌの計」の端緒で撤退を余儀なくされた豊臣軍堀秀政隊。その殿軍をつとめる仙石隊と牢人衆併せ200人は目前にそびえ立つ早川虎口への突入を決意した。ここに集いしは、何かを失ったものばかり。その一人である権兵衛もまた、悲願たる「挽回」を懸けた大一番に臨む!
小田原合戦はいよいよ包囲戦に突入! そして仙石権兵衛の復活に向け、第一の鍵となる人物は「徳川家康」!? 権兵衛の縁が引き寄せる武将たちとともに、合戦の主導権を握るべく「ヤマイヌの計」に取り掛かる!!
豊臣秀吉と北条家の決戦に、仙石権兵衛は家臣の忠勇三十騎を引き連れ参戦することを決意した。すべてはここからーー欲も後悔も今は忘れて、「無」からの再起へと歩みだす!!