制作・出演 : 山中聡
偽名で生きてきた。けれど心までは、偽らなかった。 ■2024年1月26日、衝撃的なニュースが日本を駆け巡った。 「指名手配犯、桐島聡発見!」 1970年代の連続企業爆破事件で指名手配中の「東アジア反日武装戦線」メンバー、桐島聡容疑者(70)とみられる人物が、 末期の胃がんのため、神奈川県内の病院に入院していることが判明した。 男は数十年前から「ウチダヒロシ」と名乗り、神奈川県藤沢市内の土木会社で住み込みで働いていた。 入院時にもこの名前を使用していたが、健康保険証などの身分証は提示しておらず、男は「最期は本名で迎えたい」と語った。 報道の3日後の29日に亡くなり、約半世紀にわたる逃亡生活に幕を下ろした。 この謎に満ちた桐島聡の半世紀にわたる軌跡を映画化したのが本作だ。 ■桐島聡の発見と死のニュースを聞き、怒りと反抗の映画監督高橋伴明(『TATTOO〈刺青〉あり』)はすぐに映画化に動き出す。 脚本を任されたのは前作『夜明けまでバス停で』(22)でコンビを組んだ梶原阿貴。 最近になって自伝「爆弾犯の娘」(名著)で梶原自身が「新宿クリスマスツリー爆弾事件」に関与し指名手配された犯人の娘だったことを告白し世間を驚愕させた。 その梶原が実際に経験した逃走生活あるある(ノウハウ)が注入され、さらには実際に桐島の盟友で現在も反権力闘争を続ける 宇賀神寿一氏も取材協力した本作は濃厚なリアリティと怒りで彩られた傑作である。 ■主演の桐島聡役は毎熊克哉。主演映画『ケンとカズ』(16)で注目されて以来、映画・ドラマで活躍し続け、 今年は主演作『初級演技レッスン』も公開される。本作では20代から70歳で亡くなるまでを演じ切っている。 また、さそり部隊のメンバー宇賀神寿一役には『SR サイタマノラッパー』(09)、主演『心平、』(24)の奥野瑛太が起用された。 奥野も20代から70代までの幅広い年代を見事に演じた。 さらに、ミュージシャンのキーナ役にはドラマ『バイプレイヤーズ』(17〜)のジャスミン役で脚光を浴び、『春画先生』(23)で新境地を見せた北香那。 劇中では河島英五の名曲「時代おくれ」(86)のカバーを披露し、新たな演技の幅を見せている。 謎の女役には高橋監督のパートナーで昭和を代表する女優、高橋惠子が演じる。本作の脚本に触れた高橋惠子本人が、夫である伴明監督作品に初めて自ら出演を希望した。 また、『さすらいのボンボンキャンディ』(22/サトウトシキ監督)で好演した原田喧太と影山祐子のコンビがバーの店主役と工務店の事務員役をそれぞれ務めた。 さらに甲本雅裕、山中聡、白川和子、下元史朗、趙ミン和といった高橋監督に縁の深いキャスト陣が脇を固め、映画を一層深みのあるものにしている。 ■本作は昭和、平成、令和の3つの時代を舞台とし、24年7月23日から8月15日まで東京・高田馬場、御徒町、神奈川県横浜市寿町、 金沢文庫、千葉県市川市、我孫子市、いすみ市、埼玉県入間市、茨城県なめがた地区、福島県いわき市などでロケが行われた。 これらのロケ地が、物語のリアリティと深みを一層引き立てている。 ※収録内容は変更となる場合がございます。
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