音楽むすび | 制作・出演 : クロード・ウィリアムソン・トリオ

当時急遽人気が再燃しだしたベテラン、ウィリアムソンが、アル・ヘイグを偲んで制作した95年録音作。しかも、ヘイグの僚友だったビル・クロウを起用し、トリビュートのリアリティも万全だ。渋く輝く熟達な味わいとファットな暖かさとが心を包む佳作。

白人ピアニストの中でも隠れた人気を誇るウィリアムソンの旧録音。バド・パウエルの人気曲「クレオパトラの夢」をフィーチャーしたところが売りで、CD化に当たっては別テイクも収録されているのが嬉しい。達者なビバッパーによる快作だ。

パウエル派のピアニストとしてウィリアムソンは50年代にいくつかの素晴らしい作品を発表した。しかし91年録音の本作では、そうしたハードなタッチは影を潜め、どちらかと言えばハート・ウォームなサウンドが特色だ。これが実に気持ち良げに響く。

簡素ながら研ぎ澄まされた美学のあるウィリアムソンの94年の作品。派手なフレージングがなくとも小粋なスウィング感は抜群で、しかも素朴さの奥に輝く洒落たフィーリングはこの人ならでは。良く知られたスタンダーズ中心の選曲が功を奏した、魅力全開の快作。

村上春樹『国境の南、太陽の西』に引っ掛けたアルバムで、(8)以外は小説に登場する曲で構成。ベテラン3人が、ちょいとやってみるべぇか的気楽さでプレイしていて、その分こっちも聴きやすい。アッサリ味のピアノが、春樹小説ぽいっていうことなのだろうか。