音楽むすび | 制作・出演 : 伊藤仁美

最高の音で楽しむために！

ヴラフSQは昔ながらの音楽作りをする。良く言えば素朴だが、詰めの甘さを感じさせる部分も。音楽のボルテージが上がると音が荒れてしまうのも難点だ。むしろ注目は併録のフィビヒとドヴォルザークのピアノ曲で、叙情的な小品を伊藤仁美がやさしく奏でる。

ウィリアム・L.ギロックという音楽教育界に影響を与えた作曲家、彼のビギナーのためのピアノ小曲集だ。彼の理念がノーツに書かれているが、それはピアノだけでなく音楽全般に通じるもので、どんな立派な音楽家の言葉より信憑性があり、溜飲を下げるものだ。

アメリカの作曲家ギロック(1917〜93)のピアノ小品に対する伊藤仁美の深い理解を感じさせる。「子どものためのアルバム」と題されているように、全体的にさほどの難曲はないが、飽かずに聴き通させるには魅力ある演奏でないと無理。伊藤の演奏は楽しめる。

ギロックは1917年生まれのアメリカの作曲家。“教育音楽作曲界のシューベルト”と呼ばれているそうだ。(1)はほとんどが30秒から1分半ほどの断片で音楽は始まる前に終わる。(2)(3)も含め、これは“ピアノ学習者用のきれいな音楽のパターン集”といった趣。

“教育音楽作曲界のシューベルト”といわれるギロック(1917〜)のピアノ作品集。これらの音楽への作曲家自身のコメントも添えてほしかった。収録曲は1分にみたない小品が多いが、どれも詩的な幻想を展開しており、伊藤のピアノも魅力を発揮している。