制作・出演 : 小松一彦
夭折の音楽家、貴志康一(1909〜1937)の生誕100周年を記念するライヴからの収録。歌曲からの編曲作品ながら、中村茂隆による編曲は、合唱としての魅力も十全に発揮し、古典的な上品さと充実した響きの両方を持つもの。歌唱力に覚えのある団体の、好適なレパートリーになりうると感じた。
発売元
株式会社フォンテックとにかく、うまいです。サウンドは意外に軽めで、透明感がある。この透明感は楽団員の技術の高さにもよるが、秋山のコントロールの素晴らしさゆえだろう。中ではやっぱりオリジナルが面白い。多彩な音色と豊かな表情を持った曲で、ブラスの面白さが満喫できる。
20世紀初頭、ドイツで才能を開花させながら地歩を築く前に30にも届かぬ若さで夭逝した貴志の音楽は、新旧東西さまざまな要素が未だ渾然と混淆する。その貌の多彩さ得体の知れなさに大きな可能性を孕んで遺す。「仏陀」はまさに茫洋魁偉。“無国籍”の大作である。
28歳の若さで夭逝した貴志康一の代表作2作を収録している。ともに、小松二度目の録音。日本音楽の要素を取り入れたその音楽は、十分に抽象化されてはいないが、貴志の才能は随所にきらめいている。そのまま生きていれば山田耕筰を超えていたかも。演奏は文句ない出来。
2008年6月の定期のライヴ。物語性のある曲目をズラリと並べた面白いプログラム。またグレイアムの「ユーフォニアム協奏曲」も、圧倒的なミードの妙技によって聴きごたえ十分。鳴り良く快適な厚みを持つ響きと緻密なアンサンブルは、この団の実力を物語る。
吹奏楽レパートリーを牽引している市音のライヴ・シリーズで、今回も日本初演の3曲目、新編曲5曲目を含む重厚なプログラム。フォルテシモでも金管が咆哮せず木管がくっきりと定位、絶妙のバランスで作品像を描く優れた演奏&録音。エルガー晩年の作品4曲目が美しい。解説も充実。
バレエ「天の岩戸」は28歳で夭逝した貴志康一の60分にも及ぶ大作。20世紀前半のドイツ音楽の手法を貪欲に吸収し、日本固有の素材を生かした音楽に仕上げる手腕は並みのものではない。今回が世界初演であり初録音。ぜひともバレエ上演を望みたい。
音響への興味にとどまることなく、内的な表現へと向かう求心的な意欲、伝統をふまえながら、それを超えようとするぶつかり合いの緊迫感。39年静岡県生まれ。現在大阪音楽大学教授で関西を代表する作曲家として活躍する鈴木英明の今を示す作品集だ。
貴志康一。1937年、指揮・作曲両面に於いてその豊かな才能を期待されながら、名声確乎たるを待たず28歳の若さでこの世を去った音楽家。vn協奏曲は既に紹介された交響曲と並ぶ代表作で、近代ロシア風の管弦楽書法の中に日本を織込んで華麗である。