音楽むすび | 制作・出演 : 御園生瞳

若きバリトンの颯爽たるデビュー録音。シューベルトを中心としたドイツ歌曲にポピュラーな名歌を配した曲目に野口の意欲が感じられる。幾分ハスキーな地声を生かして朗々と綴られた「ハナミズキ」や「愛燦燦」など歌への一途な思いが感じられて共感を持てる。

楚々としたナチュラルな歌声に魅了され、伸びやかで率直な表現に心が癒される童謡集である。「あめふりくまのこ」の天真爛漫な歌唱に天性の明るい気質が覗かれて微笑ましい。可愛い坊やの母親ならではの、5月の青空を思わせるさわやかなデビューCDである。★

澄んだ透明な声を駆使して一曲ずつ丁寧に歌い繋ぐ松田希世の真摯な歌唱に好感を抱く。中田喜直の「霧と話した」など、慎み深い表現の中から自然と醸し出される抒情的な美しさに心惹かれる。日本歌曲に清新の気を吹き込む初々しいデビュー・アルバムである。

バスからカウンターテナーまで、実に4オクターヴを歌いこなす本岩孝之は、東京学芸大を経て東京藝大、同大学院で学んだ。各声種を歌いこなす技術はたぐいまれなもの。登場人物をC-T、T、Brで歌い分けた「魔王」は歌曲というより演劇的な世界を現出して興味深い。