制作・出演 : 西本智実
ロイヤル・フィル来日公演でのライヴ録音(2009年9月)。壮大なスケール感を出すためか全体にテンポ設定が遅め。それがかえって緩んだ印象を与えてしまっているのは否めない。オケのクオリティ、特に響きがやや煩雑に聴こえるのも惜しい。西本の要求に応えきれていない感が強い。
西本智実とロイヤル・フィルの出会いを記録した2009年の東京でのライヴ録音。一期一会的な緊張と勢いが演奏に感じられる。西本の指揮は熱く、ロイヤル・フィルを積極的にリードする。ロイヤル・フィルはさすがに潜在能力が高く、ここというときに地力を発揮する。
リトアニアでの両者の共演は大成功。その折の録音セッションで作られたアルバム。前半はジョーの魅力が花開く。近年、レパートリーに加えた「椿姫」は聴きもの。オペラ指揮者としてもキャリアを重ねる西本が好サポート。後半の「展覧会」もいいが、もっと共演が聴きたかった。
全体を通して、ゆったりとした歌に西本智実らしい個性と経験の積み重ねが聴き取れる。特にしみじみとした悲しみの表現が際立っている。たとえば「モルダウ」では、聴き慣れたはずの旋律がこんなにも哀愁や悲劇性を含んでいたのかとあらためて感じる。
「シェエラザード」の壮麗な音響美と妖艶な叙情性を追及したような演奏だ。旋律の歌いまわしはたっぷりとしなやかで優美さも十分だが、緩急のメリハリや強弱のダイナミックさはやや控えめだ。こういうタッチで描かれた演奏は今までにない印象で面白い。
発売元
キングレコード株式会社「木管と弦がきれいに踊らなきゃ!」と言いたいかのように日フィルが好演。大げさな表現はどこにもないのに、音楽が生き生きして細やかな表情がとてもチャーミングなのだ。さすが劇場で鍛えた西本智実の棒さばき。愉しくて全曲をいっきに聴いてしまった。
制作・出演
FoskolosPeter / NagyBela / NovakZita / RajkaImola / RomanovszkajaLjudmila / ドヴォルザーク / ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団 / 西本智実発売元
キングレコード株式会社久々のアルバム。しかも今回はブダペスト・フィルとの共演。「新世界」をぶつけてくるあたり、なかなかの策士である。とはいえスラヴ臭さはない。各声部、各楽器が、まことに味のあるうたいまわしをする。西本の気概と成熟した音楽性が堪能できる一点である。
2004年1月2日、モスクワ音楽院の大ホールでのコンサートのライヴは、いかにもロシアの聴衆を前にしているってな感じのプログラム。西本はロシア語ペラペラなのね、なんて感心してると、ロシア人大好きな大音響によるオーケストラがどかーん。なんだか楽しい。
推進力がみなぎり、鳴らすところはダイナミックに鳴らす思い切りのよさで、ハチャトゥリアンなど凄まじいほどの喧騒具合なのだが、見通しを失わないようなバランスへの配慮も見受けられる。ボレロはスタンド・プレイを排し、ぎりぎりまで抑制を利かせる。
随分遅く感じられるが、特に遅いというわけではない。一フレーズずつ実に丁寧に仕上げていて、とりわけ弱音でのニュアンスを大切にして、きちっとオーケストラをコントロールしている。第4楽章冒頭の激しさもハメを外さない。「1812年」の方も、スタイリッシュだ。
2002年の1月に西本はこのオケの首席指揮者に就任したが、その折に録音された演奏が早くもリリースされた。若さに任せて自分の才能をあれこれひけらかすよりも、まずはじっくりと地に足の着いた音楽作りを目指しているかのよう。特にリズムの良さが顕著。
発売元
キングレコード株式会社西本智実が首席指揮者に就任したばかりのオーケストラを率いてのチャイコ。骨太で厚みのあるオケをしなやかに鳴らして、壮大なドラマを力強く推し進めていく西本の本領が遺憾なく発揮されている。ファンタジックで温かなぬくもりを感じさせるステキな演奏だ。
ロシアの巨匠、イリア・ムーシン最後の愛弟子、話題の指揮者、西本智実のデビュー・アルバム! 師、ムーシンに「正統的なロシアの伝統を受け継いだ」と評された期待の大型新人。