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三代目・昔昔亭桃太郎師匠が2008年3月と10月に東京・練馬文化センターで収録した古典「不動坊」「お見立て」の2演目を収録。新作で評価の高い師匠が古典に挑戦し、師匠らしい時代感覚たっぷりのクスグリを随所にちりばめながら、ユニークな下げでしめている。
41歳という若さで世を去った七代目小柳枝(1921?62)による、古典落語四題。生真面目な中のひょうげた対話で笑いを取る芸風で、酔っぱらいの描写には特にいい味があり、「子別れ」「馬の田楽」のサゲなど思わずつられ笑い。「強情灸」でのとぼけっぷりもいい。
八代目桂文楽の弟子で、東京水道局の職員から噺家へ転じた三升家小勝の昭和30?40年代ならではのラジオ音源(ラジオ京都、TBSラジオなど)を集めているシリーズで、その多くの噺が初商品化という貴重盤である。師匠である文楽の口調にメリハリを利かせた感じのテンポによる小勝の明るい口調が特徴だろう。水道局時代の体験話を元にした「水道のゴム屋」やサラリーマン経験があればこその「操縦日記」などの新作落語と、「真田小僧」「壺算」などでくすくすと笑いが湧いくる古典落語の両方を好演している。
寄席から映画、舞台、ラジオ、テレビとあらゆる場で爆笑王の名を馳せた柳家金語楼の、戦前の音源に戦後の録音2作を加えた名演集5枚。大正15年にレコード「噺家の兵隊」の大ヒットで人気が爆発したが、ここに収められているのは昭和6年の再吹き込み。金語楼は新作落語のパイオニアとして知られるが、そこに至った背景には関東大震災による江戸情緒の消滅と、新しい時代の到来があったのではないか。円タク、銀ブラが都会の風俗の最先端であった時代の描写は巧みだ。それだけに、新作はナマモノとして短命であることも十分に察知していたのだろう。映画やテレビなどニュー・メディアに活動の基盤を移し、マスの笑いを追求した姿勢に、社会の変遷に対する鋭敏な嗅覚が窺える。(三)の5曲目「ある交番」と(五)の3曲目「ふぐ」は昭和30年のNHKのライヴ音源だが、登場しただけで笑いを取る凄味は衰えていない。
「落語の大学」は噺家やネタをパロッた語り口がマニアにはたまらない作品。「鬼背参り」は夢枕漠の書き下ろし。江戸期が舞台の鬼や陰陽師も登場する怪談味タップリの緻密な構成で、喬太郎は真っ向勝負の熱演で聴かせる。50分超の大作にして未来の古典。
ドラマや小説を通して、幅広い世代に人気となっている落語は、その言葉の世界の楽しさや奥深さから、子供番組でも取り上げられるようになった。本作は、そんな親子が楽しめる落語の数々を収録した教育的オムニバス・アルバムだ。