音楽むすび | SP音源復刻盤 信時潔作品集成

SP音源復刻盤 信時潔作品集成

SP音源復刻盤 信時潔作品集成

信時潔はドイツで学んで、ドイツ・ロマン派の書法をしっかりと身につけ、山田耕筰と並ぶ日本作曲界の重鎮とされてきた作曲家だが、多くの音楽ファンにとっては、今や「海ゆかば」くらいしか知らない存在だろう。ここには、合唱曲や唱歌、器楽曲から社歌、校歌、NHKの放送開始の音楽まで入っている。カンタータ「海道東征」の初出録音をはじめ、日本人初のチェンバロ作品など、貴重で興味深い録音、作品が多い。なかでいちばん興味深かったのは戦時下の作品群だ。ディスク5と6にまとめられている。大政翼賛会の標語「此の一戦 何がなんでもやり抜くぞ」にまで作曲しているのだ。それと、上記の「海道東征」をはじめとする紀元二千六百年祭関連作品など、考えさせられる。これは、戦前戦中を中心に録音されたものをほぼ網羅し、SP盤と金属原盤から復刻した画期的なボックスである。

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