モソモソとした語り口が妙な味を醸し出していた八代目可楽。町内の旦那衆が寒風のなか火の用心の夜回りをする「二番煎じ」は、番屋で酒を飲み始めるあたりが味噌。オチが標題の江戸風人情噺「甲府い」では甲府者と江戸者とを演じわけ面白味を出している。
1995/11/01 発売
8代目可楽といえばこの2席。渋い語り口は通好みという面につながり、今一つ地味な印象だが、好きな人にはたまらない。どちらも酔っ払いの主人公の、支離滅裂のおかしさの裏に人間の哀感を漂わせ、笑わせるだけでなく、人生というものを感じさせる。 1997/02/05 発売