追悼アルバム「マル・ウォルドロン」《未収
日本ツアーで好んで弾いた9曲に有名な自作曲(10)を加え、いずれも晩年のソロ演奏の未発表音源で構成された、故人を偲ぶに相応しい、しみじみと心にしみる作品。緩やかに和やかに情感豊かにこうしていつまでもいつまでも弾き続けてくれそうな気配すら漂わせている。
関連音楽
50年代はミンガスのグループに参加、ビリー・ホリデイの伴奏など。60年代にはドルフィーと組んだり、代表作『オール・アローン』を発表。マルは本流に参画しながら地味な存在だったが、本盤を聴くとジャズの激流と緩流を今、伝えている人なのだと実感。 1997/11/21 発売
B.ホリデイやE.ドルフィーとの共演で有名なベテラン・ピアニストのマルがクラシックのジャズ化を試みた。それもピアノ、ヴァイブ、ベースという珍しい編成で。結果、室内楽的雰囲気を感じさせる見事なジャズに仕上がった。香取のヴァイブがいい! 1999/05/26 発売
マルが98年、香取、中村という日本が誇る若手と組んで完成させた異色のクラシック集。ブラームス、ショパン、グリーグ、バルトークらの作品を取り上げてはいるが、ジャズ演奏の普段とまったく変わらぬ世界が展開されている。曲ごとに置かれた間奏曲も効果十分。 2003/04/23 発売
岐阜のスタジオFでのライヴ録音盤。静かで深く激しく軽く、精神的な即興性を重視したドラムとのデュオが続く。意欲的なパフォーマンスに取り組んだマルは、この時70歳。雷鳴や風の中で生き生きと枝を震わせる木々を連想させる自然な旋律が新鮮で印象的である。 2003/06/25 発売
93年、原爆資料館で悲劇の実態を知り、詩「白い道」と出会ったマルが、唯一の手段である“音”で“平和への祈り”を表現した異色の傑作。人類が忘れてはいけないテーマに、マルが音で残したメッセージは重く、深く、そして聴く者の心を揺さぶる。★ 2003/07/24 発売