ベートーヴェン:交響曲全集
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これは最も朝比奈らしい演奏だ。テンポは非常に遅く、リズムは念を押すように重く、また美音を犠牲にしても自己の情熱をむき出しにしている。ここまで徹底すれば嫌う人もあるだろうが、逆に彼のファンにとっては決して聞き逃せないものとなるのだ。 1988/08/21 発売
いうまでもなく朝比奈は世界でも最長老の指揮者の一人。現在も新ブルックナー全集をスタートさせるなど、精力的な活動には目をみはるものがある。本CDは第5回目となったベートーヴェン交響曲全集からの分売。ゆったりとした雄大な風格の「英雄」である。 1993/12/17 発売
これは従来と違い「編集による高い完成度」が売り。しかし、第1楽章400小節ではフルート(オーボエも?)がないし、第3楽章(練習記号E)では間違ってフォルテ(楽譜の指定はピアノ)のテイクが使われている。後者は指揮者の解釈にかかわる大問題。 1993/12/17 発売
この新盤は音質がずいぶんと生々しくなり、それは評価にも大きく影響する。この2曲はブルックナーの交響曲のような巨大な解釈で、特に第1の方は通常の演奏は大きく異なったものだ。朝比奈が長い時間をかけて到達した世界だけに、その味わいは格別だ。★ 1997/09/22 発売
85年のライヴ録音だが、12年前にして朝比奈は既にここまでスケールの大きな音楽を創っていたのだと改めて感服した。音楽は常に悠々と流れ、すべての音符は暖かく息づいている。今、「運命」の2楽章をこれほど豊かに響かせる指揮者は恐らく皆無だろう。 1997/09/22 発売
最初に出たCDは、もっと柔らかい音だったと思うが、この新盤ではずいぶんと生々しくなった。第7は例によって繰り返しをすべて敢行し、巨大な構成の中に素朴な情熱が渦巻く演奏。技巧的な第8は朝比奈流の解釈と多少相性は悪いが、それでも平均以上だ。 1997/09/22 発売
フランス料理にシェフのお勧め料理を少しずつ何皿も出す「ムニュ・デギュスタシオン」という献立がある。朝比奈隆6回目の全集から聴きどころを選り抜いたこのベストはまさにそうした逸品だ。風格ある「英雄」や悠然たる第4など至高の芸風に触れて頂きたい。 2000/02/17 発売