著者 : すぎやま博昭
佐藤俊雄は少年時代から様々な災難に見舞われたが、その都度、救いの手を差し伸べてくれる人がいた。信頼すべき友人に恵まれ、最愛の女性との愛も結実し夫婦として人生を共にした。俊雄は周囲の人々との絆をより深く築き上げるべく努力し、家族の一員としての責任と役割、愛情や思いやりの重要性を最大限に実践してきた。人生の過程では喜びや悲しみ、挫折や成功、出会いや別れなど、数々の出来事に巡り合う。それらを通じて、人々はどのような人間でありたいのか、何を大切にして生きるべきなのかを見出すことに努力する。「最後」とは物事の終わりではなく、「最後」のあとには、新たな始まりが待っている。人生の「最後」がいつ訪れるかは分からない。だからこそ、その前にできる限り充実した人生を送りながら、今を生きるべきなのだ。佐藤家を取り巻く人々との生き様を丁寧に紡いだ愛と命の物語。 はじめに/出会い/喜び/運命/生い立ち/友情/無常/最後/あとがき
高橋真一郎を中心に展開される家族三代の絆を描いた感動作。真一郎は両親の姿を見て家族の大切さを知り育った。長じて役所に勤め、同僚であった優子と結ばれ、一男一女を得た。しかし、長男の正樹は希望の職に就いたものの突然退職し、そのうえADHDが発症、引きこもり生活に陥ってしまう。その一方、真一郎は定年を機に新聞配達の職に就く。毎日、配達される新聞は社会との繋がりでもあると、その仕事のやりがいを正樹に伝えるが耳を貸さない。しかし、家族の努力により、彼は立ち直りの兆しを見せるが、そんな矢先に真一郎が亡くなってしまう。正樹の喪失感は強く、生前の父の存在の大きさに気づく。そして、真一郎が後半生をかけた新聞配達の仕事に就き、父の仕事をなぞることで、暗く長いトンネルから抜け出す。そして、かねてから強い関心を持っていた自然保護にも取り組むことを誓う。息子の立ち直りを確信した母は星空の彼方の亡き夫に呼びかける。 はじめに/高橋家/葛藤/画策/稼働/別離/憧憬/あとがき