著者 : オーガニックゆうき
入れ子の水は月に轢かれ入れ子の水は月に轢かれ
那覇・水上店舗通りー繁華な国際通りから一本入ったその場所は、猥雑なバックストリートだ。かつては湿地帯だったガーブ川を、戦後に不法占拠して生まれたワンダーゾーン。…いわば、風来坊たちの隠れ家である。水害で死んだ双子の兄の身代わりとして、偽りの人生を生きてきた孤独な青年・岡本駿。母を振り切って実家を飛び出した彼は放浪の果て、水上店舗通りに辿り着いた。高齢フリーターの川平健、そして老女傑の鶴子オバアと出会い、居場所を見つけた駿はやがて、オバアの店を譲り受け『水上ラーメン』をオープンする。しかし開店当日、最初の客が謎多き水死体として発見される。不審死を追う駿と健は、在日米軍、CIA、琉球王など、沖縄に滲む黒闇を目の当たりにするー!第8回アガサ・クリスティー賞受賞作品。
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