著者 : ジェームズ・リッチマン
異世界にも暑い夏がやって来た!シュトルーベの里帰りから戻ってきたモングレルはライナから、“アルテミス”と一緒にザヒア湖へ旅行に行かないかと誘われる。なんでも日頃の慰安をかねて、大自然の中で存分に水鳥狩りを楽しみに行くのだという。湖なら本格的な釣りができると考えたモングレルも二つ返事で参加を決め、自作の釣り具一式を抱えてウキウキで“アルテミス”に同行する。もちろん狙うは湖に生息する(かもしれない)幻の巨大魚!一方、ライナはウルリカに唆され、この旅行でモングレルとの距離を縮めるためにアプローチ作戦を実行するのだがー!?
春は目覚めの季節である。この時期のギルドマンたちは皆、硬くて不味い干し肉を放り投げ、冬眠から目覚めた獣を狩りに森へと出かけていくのだ。もちろんモングレルも例に漏れず新鮮な肉を求めてライナやウルリカらと共にキャンプへと繰り出し、楽しい毎日を送っていた。そんな彼にある日突然ギルド長から直々の呼び出しがかかる。なんとその要件とは「シルバーウルフを全く傷つけずに狩猟しろ」というあまりにも滅茶苦茶な仕事の依頼で…!?
厳しい冬が終わり、春が近づく頃。レゴールの街はにわかに活気づいていた。その理由はもちろん、春の風物詩である「精霊祭」の開催が目前に迫っているから。精霊祭は街中がスライムで飾り付けられ、他の街から観光客や行商人もわんさかやってくる一大イベントだ。レゴールで平穏に暮らすモングレルも精霊祭には毎年欠かさず参加している。なぜなら、街の領主が気前よくタダ酒を振る舞ってくれるのだ!そんなわけでタダ酒とクラゲ料理を楽しみにしていたモングレルはある日ライナから「私も祭り、一緒に回っていースか?」と誘われてー!?
バスタードソードは中途半端な長さの剣だ。ショートソードと比べると幾分長く、細かい取り回しに苦労する。ロングソードと比較すればそのリーチはやや物足りず、打ち合いで勝つことは難しい。何でもできて、何にもできない。そんな中途半端なバスタードソードを愛用する俺、おっさんギルドマンのモングレルには夢があった。それは平和にだらだら生きること。やろうと思えばギフトを使って強い魔物も倒せるし、現代知識でこの異世界を一変させることさえできるだろう。だけど俺はそうしない。ギルドで適当に働き、料理や釣りに勤しみ…時に人の役に立てれば、それで充分なのさ。これは中途半端な適当男の、あまり冒険しない冒険譚。