著者 : 一本木透
あなたに心はありますか?あなたに心はありますか?
その日、AI研究に携わる四人の教授が、シンポジウムのため壇上に上がった。会の終盤。一人の教授が壇上で倒れた。そのまま帰らぬ人となった。やがて届いた連続殺人を告げるメール。だが、それはほんの端緒に過ぎなかった。デビュー作「だから殺せなかった」著者が放つ慟哭の社会派ミステリー。
だから殺せなかっただから殺せなかった
「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」大手新聞社の社会部記者に宛てて届いた一通の手紙。そこには、首都圏全域を震撼させる無差別連続殺人に関して、犯人しか知り得ないであろう犯行の様子が詳述されていた。送り主は「ワクチン」と名乗ったうえで、記者に対して紙上での公開討論を要求する。「おれの殺人を言葉で止めてみろ」。連続殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道の波に呑み込まれていく。果たして、絶対の自信を持つ犯人の目的はー劇場型犯罪と報道の行方を圧倒的なディテールで描出した、第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。
PREV1NEXT