著者 : 三嶋寛
カンタさんの古代桜とB29カンタさんの古代桜とB29
次々に這い出た大人たちに続いてカンタさんは見た。すっかり薄暮に包まれたなか、古代桜の背後の山林に、巨大な構造物が引っかかるようにかしいでいて、それがメラメラと嘲るような炎を吐きながら燃えているのを。……カンタさんは、思わず膝が震えるほどの畏怖と、そして少しばかりの憧憬を混じえてつぶやいていた。「B29だ!」。古代桜は、そのすべてを見ていた……。 敗戦時、国民学校1年生だった86歳の作者が初めて世に問う、ちょっとミステリアスなお話。 カンタさんの古代桜とB29 路面電車の走る街で
PREV1NEXT