著者 : 中井紀夫
狂熱風雲王とアムネシアの王女のあいだに生まれた男、グレン。育ての親のもとを抜け出し、放浪の旅を続けるグレンは、ある時ザハシャラモドンの町で囚われの身になった。持ち前の運と力で町を乗っ取ったグレンだったが…。一方アクラ山の頂上火口では、存在するものすべてを敵とする、究極の破壊者〈タルカス〉の誕生が迫りつつあったー。SF界の奇才・中井紀夫が渾身の力をこめて描き出す、大人のための神話物語第4弾。
ついに〈タルカス〉が誕生した。存在するものすべてを敵とする、究極の破壊者が目指すのはアムネシアー。そこはいまや戦乱の地となっていた。長年のグユの圧政をはねのけ蜂起したアムネシアだったが、狂熱風雲王はあらゆる手段でこれを押し潰そうとする。そして戦いがクライマックスを迎えようとしたとき…。〈タルカス〉が姿を現わした。中井紀夫が渾身の力をこめて描き出す、大人のための神話物語、堂々の第1部完結。
後漢末、「魔」が目覚めた。この世のものならぬ魑魅魍魎が人界の動乱を求めて騒ぎだしたのだ。そのころ、北方のはずれに剛勇でならした若者がいた。後に「人中の呂布」として恐れられた武将の若き日の姿である。やがて呂布はその力を足がかりに、少しずつ中央へと近づいていく。しかし、それには常に影がまとわりついていた。彼の行くところ、必ず動乱が起こり、人々に不幸がもたらされるのだ。呂布自身も知らぬことではあったが、それこそ彼を狙う「魔」の導きであった。漢王朝は今、波乱の時代を迎えようとしている。裏切り者の代名詞、黒い英雄呂布を描く、「三国志武将列伝」第二弾、ここに登場。
花と硝子の都アムネシアが、血と精液の国グユに滅ぼされて15年。グユの狂熱風雲王とアムネシアの王女のあいだに生まれた赤ん坊はひとりのたくましい若者に成長したー彼の名はグレン。アパポクワ族の村で育てられたグレンは、15歳になったいま、成人の儀式に参加しなければならない。だが、一方で彼をアムネシア再興の旗印としようとする者たちがいた…。中井紀夫が渾身の力をこめて描きだす大人のための神話物語第3弾。
隣室から夜ごと漏れ聞こえてくる女のあえぎ声…亀谷史崇は今夜も聞き入っていた。斎王谷澪子というのが、声の主の名前だった。しかも相手の男はいつも違っている。ある日、史崇は彼女がテレビ局のアナウンサーであることを、偶然にテレビの画面で発見していたのだった。今夜はとくに激しい男女の睦言がいつしか暴力的になり、奇妙な音が部屋を充しはじめた気配が伝わってきた。翌朝、史崇は、彼女が懸命に洗いものをする姿に出くわしたが…。忘れ去られた伝説が都会の一隅に甦る恐怖とサスペンスの書下し。
血と精液の匂いに満ちた狂乱の国グユ。そこを治める狂熱風雲王がひとりの娘に惚れた。その娘とは、狂熱風雲王が長年攻め落とせずにいる辺境の小国“花と硝子のふるさと”アムネシアの王、黙り牛のひとり娘だった。青く冴えわたる満月のように美しい、というその評判を聞くや、狂熱風雲王は矢も盾もたまらずに彼女を欲しいと焦れる。ならば力ずくで彼女を手に入れようと考えた彼はアムネシアに対して兵を起こし、その不意をついて国境を越え攻め入ったのだった…。中井紀夫が満を持して放つ新シリーズ、大人のための神話物語いよいよ登場。
カルロスの死体から生じた“闇”が再び世界を覆い始めていた。一方、トカゲ・ライダーズの魔手を逃れ、別れ別れになったワニ、クサフリ、マリエらは各々妖女とのあぶない行為や大自然の猛威、謎の美丈夫との恋などを経験しつつ、いつしか無限の深さをもつ大渓谷へ向かう。騎兵隊に追われる尻尾怖いらも加わり、期せずして主要登場人物一同が目指すそこには、惑星を発見した探査船が眠っているという。ついに、この奇妙な惑星の謎が明かされるのか。果たして闇の侵攻を阻止できるのか。愛すべき能天気野郎のシリーズ完結篇。その首尾やいかに?
悪戦苦闘の末にワニたちはカルロスを倒した。だが、カルロスは死んでなお崇るとんでもない奴だった。死体から流れ出る“闇”が人々の超能力を暴走させたのだ。死体を燃やし尽くしていったんは危機を脱したが、呪術を修めたクサフリの破滅への予感は強まる一方。かくて、ワニたちは大陸の西へ赴くことになった。破滅の原因を解明すべく、かつてこの惑星を発見した後、大峡谷に消えた無人探査船の伝説を求めて。だが、マリエや少女アンドロイドらとの珍道中は、途中、奇妙で兇暴な盗賊団との遭遇により、思わぬ道草を食うはめになるのだった…。
山頂の奏楽堂で演奏に一万年もかかる交響楽を演奏し続ける楽団は、演奏開始三百年のいま最大の難所〈八百人楽章〉を迎えていた。前代未聞の楽器製作や大量の写譜に大わらわの楽団員の姿を描き’88年星雲賞に輝いた表題作ほか、書き下ろし中篇「電線世界」など奇想天外で優しい物語6篇収録。
いつ、どこからともなくTOKYO副都心の超高層ビル群の一角に根を張った正体不明の漂着神と呼ばれるもの。“彼”が放つ奇天烈な電脳の機械たちが電飾の街や団地を襲い破壊をはじめた。真昼野正彦の仕事は、“彼ら”を解体することだ。それが、“彼ら”の死なのだ。機械的に冷静に処理さえすればよい。そんなある日、朝里という少女と出会った。彼女は機械たちを収集していた。それが、真昼野が漂着神の坐す禁区に敢然と戦いを挑む運命のはじまりになろうとは!覚めた文書と野太いユーモアそして壮大な寓意をこめて期待の新星が放つ大型エンターテインメント。
前巻でわかったが、ワニの両親もカルロスに殺されていた。ワニは復讐を誓う。七人の頼もしい仲間も集まった。元保安官のピートは念動力を使うと絶頂感にある女性と交感し、なんでも屋のモンタナは生まれた場所へだけテレポートでき、女教師ローラは念動力で家具を動かし、牧童頭のジョニーは頭の中で正確に時をきざむ。などなど。しかも、事なかれ主義の町の人間はことごとくワニたちを妨害する。いやになるほどハンデを負ったワニは究極の能力者カルロスに挑むのだった!さらに騎兵隊とナッツの戦い、カルロスに拉致されたマリエの運命は?
ワニは南部に来た。腰には拳銃がない。エッタの喪に服して拳銃断ちをしているのだ。しおらしい限りだが、ずい分思いきったものである。さて、金山の町に足を止めたワニ。おとなしくしていられるはずもなく、たちまち町のボスと険悪な間柄になる。相手はこれまでの悪役とはケタ違いの強大な能力者だ。敢然と立ち向かうワニ。そしてワニを助ける実にやくたいもない能力者たち!一方、尻尾怖い率いるナッツと騎兵隊の緊張高まる中、クサフリは呪術修行に余念がない。さらにマリエも元気に再登場。なんだか彼瀾万丈の展開が予感されるのだが…。