著者 : 佐竹申伍
いま一度、賭けてみるかー。明智光秀を裏切った筒井順慶に仕えるを良しとせず、一度は武士を捨てた島左近だったが、石田三成の志を意気に感じ、その参謀役となる。豊臣秀吉亡き後、天下取りの野望をむき出しにする徳川家康を打倒すべく、三成と共に立ち上がった左近。あらゆる手をつくし、ついには家康を関ヶ原へと誘い出すことに成功したー。主君のために義を貫く。その生涯を描いた長編歴史小説。
戦国乱世を、智恵と度胸で生き抜き、太閤の位にまで登り詰めた、豊臣秀吉の一生と、彼をめぐる女性たちの姿を生々と描き切る…十四歳から苦楽をともにしてきたねね、永遠のあこがれお市、その影を追ってやっと側室のひとりとした茶々など、戦国期の女性像。
戦国の世も終焉を迎えようとする頃、身一つで戦場を徘徊する一人の男がいた。男はその後、関ガ原の合戦で一番槍をとるという武勲をあげるも、浪人となってさすらい、やがて大坂の陣で天下掌握の大勢を決しようとする徳川家康の前に大きく立ちはだかった。男の名は塙団右衛門直之。武将としての死に花を咲かせるべく、落城秘至の大坂方にあえて馳せ参じた男の豪気なる生涯。
風雲急を告げる大坂夏の陣を目前にして繰り拡げられる、真田一族、服部半蔵一味、風摩の一党、入り乱れての忍者合戦。数奇な星のもとに生まれたがため、そのまっただ中に投げ込まれる駒太郎、波瀾の人生。
勇猛果敢にして慈悲の心のあふれ、今日なお語り伝えられる多くの逸話を残した異色の戦国大名・加藤清正。戦乱の世には剛毅なる武将として名を馳せ、天下治まってからは、築城・治世の名人としてその才能を讃えられた名君。波乱に富んだ全生涯を壮大なスケールで描き、併せて秀吉による朝鮮出兵の知られざる側面を明らかにする。
慶長八年六月のころ、相州厚木から江戸へ向かう街道を二人連れの浪人者が歩いていた。二十三、四歳に見えるほうが宮本武蔵であり、十七、八歳に見えるほうがその弟子の向坂陣太郎であった。二人は荏原郡世田ガ谷本宿で木賃宿に泊まったが、陣太郎は人相の悪い男から女を買わぬかと誘われた。大切な父の形身の刀を女の代わりに、鳶沢甚内という悪い奴に騙し取られた陣太郎を、甚内とその仲間が取り囲んだ。牡丹屋敷のお姫さま由香里がそんな陣太郎を救ってくれた。当時、江戸は家康が首府と決したため大変貌を遂げていた。道三河岸銭瓶橋の風呂屋に現れた坊主頭の豪傑は、ひょっと斎利太と名乗る前田慶次郎であった。豪傑連がまき起こす波瀾に満ちた物語。
豪傑坊主前田慶次郎は捕えられる前に、鳶沢甚内が悪い奴とは知らず、向坂陣太郎と奈美の二人を預けてしまった。その時、慶次郎は二枚の絵図面を陣太郎に持たせてやった。牡丹屋敷のお姫さま、勝気な由香里は相変わらず、父の仇として家康の首を狙っていた。天正十八年十一月中旬、江戸入り以来、家康が待ちに待っていた鷹狩りが催されることとなり、家康の警備陣はさらにいっそう厳しいものになった。この間隙をぬって宿所の寺院へ忍び込んだのは、由香里と車善七郎に向坂陣太郎であった。台所から突然発火した大騒ぎにも、家康お気に入りのお槍奉行大久保彦左衛門と金鍔組が活躍して大事には至らなかった。由香里姫の打倒家康の悲願の行く末は…。長編傑作。
戦乱の世に、その戦上手を生かしてのし上ってきた浅井新三郎亮政、その子・久政、そして妻お市の兄信長と越前・朝倉氏との狭間で苦脳する長政…。琵琶湖の北、江北の地に三代に亙って覇をとなえてきた浅井氏を雄渾に描き切る書下ろし時代長編。
関々原の役も家康方が勝利し、慶長8年ともなると、江戸市街は飛躍的な発展を逐げ変貌しようとしていたが、一方、大名家取潰しによる浪人が巷にあふれ、徳川幕府転覆を窺う不穏の動きを煽って…。家康の命を狙う魔性の女に翻弄される男たちの運命は…。波瀾の時代大長編。
武士としての意地、近親の情、朋友への義理…その恨みある相手への感慨もさまざまではあるが、この無念さを糧として、生命を賭けて仇敵を討ち果し、報復を遂げなければ…。江戸幕藩体制下に最も多くなされたという“仇討”のなかに、人間の業の激しさを探り、人生の哀歓を描き切る傑作時代小説。
戦国の騒乱も終焉を迎えようとする時、身一つで戦場を徘徊するひとりの男がいた。名を団八という。賎ガ岳の合戦で柴田勝家方の兵として参戦した事が、その男の一生を左右する事となるのだが…。時移り、徳川家康の慇懃自重の生き様が完結目前の大坂冬夏両陣の大坂方に、豪毅な戦国気風を色濃く残し武張った団八の姿があった。塙団右衛門直之である…。戦乱に生きた男の生涯を描く時代大長編。
「竹千代さまを、ご立派にお育て申さねば、なき権言さまに申し訳けがたたぬ…」“反逆者の娘”という烙印を胸の痛みとしながらも、完璧な乳母として竹千代(家光)の成長を願い、気丈な女として大奥取締り・朝廷と幕府との確執に心を砕き、徳川家安泰を肝に命じて華やかに生きた春日局(お福)の、波瀾の生涯を描く書下ろし歴史長編!
老中田沼主殿頭意次の右腕と目されて、今を時めく勘定奉行松本伊豆守の屋敷へ姿を現した恐ろしき般若の面をつけたる剣士ひとり。伊豆守の屋敷に同居する綾姫は、お家を断絶された美濃郡上八幡金森家の遺児であった!美しい綾姫に白面鬼は顔を合わせた。綾姫の臣、加納和泉の用心棒を努めるは三日月神妙剣の無類の遣い手、鮫鞘組の怪剣士三日月桂馬であった。深まる謎の渦中にきらめく桂鮎太郎の絶妙剣の舞。-面白さ抜群、伝奇時代の雄編。
時代小説のおもしろさを十二分に満喫させる佐竹申伍会心の娯楽時代長編作。時の権力者ー老中田沼主殿頭意次は、出羽国は羽黒山の別当と何事かを画策していた!それは、出羽羽黒山山中にひそかにねむっているという莫大な埋蔵金をねらっての陰謀か?それとも、出羽の豪族最上家を再興せんとするたくらみか…?最上家の血筋をひく二人の美姫、時姫、月姫がひそかにいだく悲願とは…?下谷三味線堀に住む旗本の三男坊、剣をとっては神道無念流戸ガ崎道場の小天狗といわれるいい男ー桧大四郎は、はからずもこの天下の怪事件の渦中へとまき込まれていった!