著者 : 内田美奈子
失業したて坂井寛生のもとに派遣されてきた「一緒に飯が食える気楽な仲間」は夕ご飯の時は人間の青年の姿をしているが、その正体は神社の猫…! 食いしん坊な「猫」が、ごはんを旨そうにたいらげ、愉快にお喋りをして帰っていく、そんな穏やかでちょっと不思議な無職の日々を送る坂井だったが、 ある出来事をきっかけに親しくなった沖守さんという老婦人の営む小さな茶房「山猫軒」で働くことに。 雇われマスターとして懸命に楽しく働いていた。 そんなある日、「山猫軒」からの帰り道、坂井と猫は体調を崩して道端で蹲る若者に出逢い…? 夏から冬へ、めぐる季節と泣いて笑ってごはんの日々。 肉球と、紅葉と、ブッシュドノエル。 じんわり美味しい幸せを「僕」と「猫」と一緒に。
ごはん男子と「猫」のおいしい毎日。 ほっこりじんわり。ぺこぺこのお腹を一緒に満たす「飯友」のいる幸せ なんて年明けだ。仕事始めの朝、出社したら会社が潰れてた。 そんな「僕」こと坂井寛生が神社でお賽銭を奮発して頼んだ願いごとのひとつめは「そこそこの新しい仕事が見つかりますように」、 そしてもうひとつは「一緒に飯が食える、気楽な仲間が見つかりますように」。 神社でそう拝んだ晩のこと、夕ごはんの準備をする寛生の前に猫が現れ、人間の言葉で話しかけてくる。『旦那さん?』 唖然とする寛生の前で猫は肉球をぺろんと舐めて、なんと若い人間の男の姿に。 「神さん」から「派遣」された「飯友」なので「ま、ひとつよろしくお願いします」「飯食いましょ、飯」と言って、 寛生の作ったごはん(フォー風にゅうめん、棒々鶏、ベトナム風お好み焼き)を「うめえ。うめえ」と完食して帰っていった。 以来、「猫男」は毎晩やってきて、ごはんを食べたりお喋りをしていくように。 ちょっと不思議で心あたたまる、ごはん男子と「猫男」のおいしく愉快な毎日の、はじまりはじまり・・・・・・!