著者 : 冨士本由紀
愛するいのち、いらないいのち愛するいのち、いらないいのち
元クリエイターで無職・無年金の夫と築45年の団地で倹しく暮らす59歳の私。遠い実家で独居する我侭で惚けた父の介護に行き来する日々。入退院、施設探し、説得、契約、実家の管理。時間に、お金に、人間に、振り回され、仕事は、定年は、介護の終わりは…。そんな矢先、夫に癌が見つかる。神は老いた父の死を願うような不埒な私に、罰として私の一番大切なものを奪うことに決めたのだ。還暦を迎える女のリアルな日常が胸を衝く、切実小説。
圏外同士圏外同士
「まだまだやれる」。蕪木秀一郎は58歳。中堅食品メーカーの完全なる子会社の社長だ。出世の道を絶たれて面白くないが、美貌の28歳、夏日乃絵を強引に入社させてからは空回り気味のヤル気を見せる。一方の乃絵は、悪夢のような出来事でデザイナー業を放棄中。生活のため入った秀一郎の会社のショボさには呆れるし、まるで愛人かのように接してくる秀一郎がはっきりとウザい。「このままでは終われない」。そこだけ共通する、二人の悪戦苦闘の結果やいかに?ユーモアとペーソスに満ちた傑作長編!
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