著者 : 吉田行宏
金色の鯉金色の鯉
「金色の鯉」 血と運命──。 昭和に起こった事件を小説化!! 闇夜の中を走る夜汽車のように、何ものかに手招きをされるように、自分の意思とは裏腹に蟻地獄の中へと吸い込まれて行く。 千鶴はスター俳優宮田の愛人だった。惚れた男吉井との間にできた子供を、宮田の子だと偽り、金を搾りとる。宮田は精神に異常をきたしながらも大スターの座につくが、力尽きて自らの命を絶つ。次々に事件が起き、千鶴は逃亡する。最後に行きついたのは吉井の生まれ故郷、北陸の地だった。事故死していた吉井の母親、脳溢血で倒れ廃人同様となった元ジャズ歌手京子の介護をしながら、千鶴は幸せに暮らす。知る由も無かったが、京子は、父親郷田輝生の元妻だった。ある日偶然千鶴の太腿の刺青を見た京子は興奮した。それは郷田の背中にあった「金色の鯉」の刺青であった。 「昭和の温もり N大闘争に翻弄された男たちの生き様」 〈二作収録〉 金色の鯉 昭和の温もり
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