著者 : 土田康彦
辻調鮨科辻調鮨科
「命がけで鮨を握ろうという覚悟がある者だけ、ここに残れ。できない者には、退学を勧める」開口一番、城島先生は宣言した。僕たち鮨科一期生は震えあがったー。昭和六十三年春、大阪。世界に名だたる辻調理師専門学校、通称「辻調」に鮨科が新設された。岡山の平凡な豆腐屋の息子として育った僕、長谷川洋右は、どこか生半可な気持ちのまま鮨科に入学する。基本となる大根のかつら剥きさえ満足にこなせない落ちこぼれの僕に厳しくも辛抱強く教えてくれたのは、口下手で強面だが腕は一流、赤坂の名店仕込みの城島先生だった。尊敬すべき先生にはしかし、知られざる壮絶な来歴があった…。昭和最後の年。若者たちは、青春の全てを鮨に捧げたー世界的ガラス作家の鮮烈デビュー作!
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