著者 : 堀田善衛
奇妙な青春奇妙な青春
民主化とは、戦後とは何かーを問う意欲作。GHQの「民主化」政策により左翼運動は盛り上がりを見せるが、戦前から和平工作に携わっていた石射康子には、その盛り上がりが、かつて日本が戦争に突入したときの高揚感と重なって見えてしまうー。1945年10月10日、釈放された共産主義者を迎える式典「出獄自由戦士歓迎人民大会」が開かれた朝から、1947年の二・一ゼネストが頓挫するまでの生々しい「戦後」の現実を、元国策通信社の管理職とそのスタッフ、元特攻隊員、元特高警察らの視点で描く。戦争末期のカオス状態を見事に活写した『記念碑』の続編。
ミシェル城館の人(第3部)ミシェル城館の人(第3部)
「エセー」刊行後、ミシェルは持病に苦しみながらも国外に旅立ち、見聞を広めていく。精神は未知のもの、新奇なものに触れさらに昂揚した。再びモンテーニュの城館へ帰着するや、推薦されてボルドオ市長となる。国情不安定、ペストの流行といった困難を極める中、人間的英知はいっそうの高まりをみた。偉大な思想家の魂を跡づける長編、ここに完結。和辻哲郎文化賞受賞。
ミシェル城館の人(第2部)ミシェル城館の人(第2部)
城館にこもったモンテーニュはどのように思索の日々をおくったのか。想像を絶する冬の寒さ、夜の暗さの中、孤独を愛し、病に悩まされつつも、「エセー」初版を刊行する。自然、理性、運命の三要素と正面から向き合う彼の内面劇を緻密に描きつつ、中世ヨーロッパを読者の目の前に現出させる。和辻哲郎文化賞受賞。
ミシェル城館の人(第1部)ミシェル城館の人(第1部)
不朽の名著「エセー」の著者モンテーニュはどのようにして自らの精神を確立していったのか。彼が生きた16世紀は後にルネサンスと呼ばれたが、この時代はまた、イデオロギー抗争が渦を巻き、暴動、虐殺、陰謀がうごめく時代でもあった。モンテーニュは、樅の巨木の生い繁る城館で、自らの思想を深めていった。長編“モンテーニュ三部作”第一部。
PREV1NEXT