著者 : 堂場瞬一
話があるんですー父の葬儀の翌日、一人の若者が訪ねてきた。新潟県警鬼の一課長と呼ばれた父にとって唯一の未解決案件を再捜査しろというのだ。奇しくも時効は葬儀の当日であった。遺品の備忘録に綴られる捜査への飽くなき執念、不審な元同僚、犯人と名指しされた男、そして謎の記号ー父が遺した事件を追って雪の新潟を鳴沢、疾る。
掏摸や詐欺師を追うなんて俺の仕事じゃないと思ってきた。だが奴等は老人のささやかな欲望と不安につけ込み金を奪うだけじゃない。被害者の生活も家庭も壊していく。この事件、仕掛け人を捕まえなければ意味がない。被害者が加害者でもあるマルチ商法の捜査は困難を極めた。そして、事件の背後にNYの中国系マフィアの存在が浮かび上がるー。
長期の薬物中毒治療から戻った北見貴秋は、幼馴染みの作家・今川出流が謎の死を遂げたことを知る。「業火」と題された遺作は何を物語るのか。ドラッグによって失われた記憶の中、真実を探す心の旅がはじまる。哀切の書き下ろし長篇サスペンス。
オリンピックで華々しい活躍をし、当然プロ入りを期待されたが、ある理由から野球を捨ててしまった投手・藤原雄大。8年後、30歳を過ぎた彼は、突然、ニューヨークのメジャー球団に入団する。あの男ともう一度対戦したい!その悲願のためだけに…。一度は諦めた夢を実現するため、チャレンジする男の生き様を描くスポーツ小説の白眉。第13回小説すばる新人賞受賞作。
DV(ドメスティック・バイオレンス)と悪徳マルチ商法。無関係に見えた二つの事件が捜査線上で繋がった時、青山署刑事・鳴沢了の長く熱い夏が始まった。NY市警の旧友との邂逅、関係者の怪死、ちらつく中国系マフィアの影。人間の欲望が渦巻く修理の世界を、鳴沢は一歩ずつ事件の核心へと近づいていく。その先に待つ哀しい真相に向かって-。鳴沢了シリーズ第三弾。白熱の警察小説。
フリーライターの広瀬隆二は、有名代議士の自叙伝執筆の取材で、15年前に失踪した代議士の娘・香奈の行方を追う。転々とする彼女の足跡を辿ると、そこには行く先々で女の魔性の虜になった男たちの姿があった。広瀬はいつしか、会ったこともない香奈に惹かれている自分に気づく…。何から女は逃げるのか?何を女は探るのか?男を虜にしながら…。俊英作家、渾身の書下し長篇ハードボイルド。