著者 : 堂本昭彦
全日本選手権大会6回優勝、うち連覇2回など平成の剣道界に新しい風と光をもたらした宮崎正裕とその同時代に活躍した剣士たちの青春と試合の軌跡をさわやかに描いた剣道実録小説 ・横浜 玄武館坂上道場 ・光の輪の中の海老炒飯 ・東海大学相模高校北門の大欅 ・円陣を組もう、校歌をうたおう ・京浜急行黄金町最寄り駅神奈川八光堂 ・十九歳の Debut(デビュー) ・わかく怖れず ・サバイバルレース特別講習会 ・罰ゲームの幸福 ・ソウル88 ・わが親愛なるライバルの台頭 ・全日本剣道選手権大会優勝 ・決勝戦の兄弟対決 ・連覇ー大会史上初 ・弟よ ・かくして風は吹きやまず
明治撃剣家の運命は変転きわまりない。大久保利通暗殺に加わった国事犯松田秀彦、少年期を座敷牢で送った門奈正、西洋画家志望から転じた柳多元治郎、浜松勤番組からもどってきた幕臣柴田衛守。また、中井亀次郎は秘境奈良十津川にひそみ、秋山甚平は北の小樽に金毘羅大本院を開き、植田平太郎はついに讃岐宮の祭神となった。峻烈な男たちの生きざまを活写した好評シリーズ第二弾。
まばゆい光彩を放ち、明治撃剣史を駆け抜けた剣客たちがいた。名人上手と謳われた松崎浪四郎、異形の二刀流を操った奥村左近太、警視庁撃剣世話掛三十六人を倒した高山峰三郎、春風館立ち切り誓願を成就した香川善治郎、そして大日本武徳会本部主任教授を務めた内藤高治など。命を懸けて修行に励み、名を懸けて試合に挑んだ剣士たちを描き、男不在の時代に敢えて男の峻烈な生き方を問う迫真ドキュメント小説。
学校剣道に先行して道場剣道が主流をなした時代がかつてあった。東京・本郷にあった有信館は、神道無念流根岸信五郎の後継者となった中山博道がながく主宰した道場で、剣道・居合道・杖道、あわせて三道の範士だったかれの門下からは、明治(後期)・大正・昭和(前期)にわたって多くの俊秀が巣立ち、わが国の剣道界に一大剣脈を形成した。この有信館を舞台に、剣道に情熱をかけた有名無名の剣士たちの若き日のロマン。