小説むすび | 著者 : 天沢夏月

著者 : 天沢夏月

青の刀匠青の刀匠

出版社

ポプラ社

発売日

2022年11月24日 発売

傷を負った孤独な少年が出会ったのは、 日本で唯一といえる女性の刀鍛冶だったーー。 胸に熱き炎が宿る、感動の青春小説! ーーー 「何のために刀作っちょう?」 主人公の沙コテツに、級友の土屋はあっけらかんとこうたずねる。 これは、問われたコテツ自身の疑問でもあるが、同時に作者の問いかけでもあるのだろう。そして、私の疑問でもあった。 「鉄には鉄のなりたい姿があっだわ」師匠はそう言う。刀になりたい鉄があるとするならば、そのように姿を整えてやることは、職人の止むにやまれぬ使命なのだろうか。自然のあり様は、人間にとって正しいことばかりとは限らない。 物語では使命を担った職人たちが、さまざまな傷や事情を抱えながらも、懸命に伝統をつなげていく。その姿に、人が生きていくということの困難と尊さを感じずにはいられない。 本著は刀を作る職人たちの葛藤を感じつつも、爽やかに読みきることができる。それは、作者の丁寧で力のある筆致に「ペンは剣より強し」という言葉の灯りを感じることができたからだと思う。                    --まはら三桃(小説家) 【STORY】 突然火事にあい、火傷を負った東京の男子高校生・コテツ。 天涯孤独となった彼は、島根に住む遠縁の剱田かがりという老婦に引き取られることに。 かがりは、現代日本において唯一と言われる女性の刀鍛冶で、寡黙だが瞳に燃え盛る炎を持つ刀匠だった。 自暴自棄になり言われるまま島根にやってきたコテツだが、転校初日、己の火傷を見るクラスメイトの視線に耐えられず、学校へいけなくなる。 部屋にひきこもるコテツに、かがりは「学校へはいかなくてもいいが、そのかわり仕事を手伝え」と言う。 かがりの弟子であるコウやカンナに教わりながら手伝いをするうちに、徐々に作刀に興味を持ち始めるコテツ。 現代日本において、刀をつくる意味とはなにか?  かがりや兄弟子たちと関わり、悩みながらも、鉄を打ち、その熱に溶かされ、コテツは自らの心の形も変えていくーー。 伝統工芸の美しさ、厳しさ、そして脈々と受け継がれていくものとは。 少年の成長を瑞々しく綴る、胸が熱くなる青春小説。 装画:たらちねジョン

マエストロ・ガールズ このコルネット、憑いてます。マエストロ・ガールズ このコルネット、憑いてます。

出版社

小学館

発売日

2019年9月6日 発売

イマドキ女子と幽霊少女の感動吹奏楽小説! 女子高生の美香が帰宅途中のゴミ捨て場で見つけたのは、トランペットより一回り小さい金管楽器、コルネット。なんの気なしに美香がその楽器を掴むと、なぜか近くから女の子の声がした。 「あ、そこ触らないでほしい」 なんとそのコルネットには、かつての所有者で、天才演奏家だった少女・紫乃の幽霊が憑いていたのだ! 小さい頃から練習漬けで十七歳で病死したという幽霊の紫乃。普通の高校生活を送って青春してみたかった、という紫乃の願いを叶えようと、美香は吹奏楽部に入ることを決意する。 紫乃に体を預けることでコルネットが吹けるようになった美香は、学校にコルネットを持ち込み、突然天才的な演奏を披露して周囲を驚かせる。吹奏楽部からの誘いも受けて意気揚々と入部した美香だが、意外とキツい練習が続き、気持ちはだんだんと引き気味に。音楽の知識もないうえ、もともと努力なんて無縁の性格、何事にも真剣味が足りない美香の態度は、紫乃に怒らせるばかりか、クラスメイトの吹奏楽男子・川崎も苛立たせてしまって……。 天才幽霊少女とともに生み出す音色が、イマドキ女子高生を変えていく。感動の青春×吹奏楽小説!

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