著者 : 奈良谷隆
みぶろみぶろ
風雲急を告げる幕末の京都で、空腹に耐えかねてわけもわからず新選組に入隊した旅芸人の坂本朝太と桂珍平。新選組を変えてやると、人前では決して笑顔を見せぬという副長・土方歳三を笑わそうとする珍平・朝太コンビによる奮闘ぶりをおもしろおかしく描いた「笑わぬ男」をはじめ、柔道の達人・西郷四郎や明治の文豪・夏目漱石と迷コンビの交流を絶妙の筆致で織りなす、笑いあり、涙ありの快作。
復讎復讎
湘南で平凡に暮らす楠部大輔には、暗い過去があった。その、彼の過去にまつわる能力を利用しようと、執拗に接近してくる悪徳商事、麻薬シンジケート-。さらに、彼を愛する短大生、栄子をめぐり暴走族との死闘。いま、寡黙な男の闘争本能に火がついた。ダブサンの網鉄の匂いに、汗と血の匂いが混じって鼻を衝き、野獣の咆哮のごとくエンジンが雄叫びをあげる。そして男たちの壮絶な闘いは、海へ、空へ-。大輔の求めてきた、最大最高の武器が彼の手に入った。鉄拳と銃弾が入れ乱れ、炎と硝煙がバトルの舞台に渦を巻く。愛するもののために、不利な闘いに敢然と挑む大輔の運命は-。
超戦車イカヅチ前進せよ!!超戦車イカヅチ前進せよ!!
昭和十四年、ノモンハン。日本陸軍始まって以来の負け戦として、陸軍少尉天城巌の眼前には、風吹きすさぶ大草原、擱座した戦車、そして同胞の屍体が累々と転がっていた。二二六事件に連座して満州に飛ばされた彼にとって、大陸は屈辱の地と化したのだ。翌年春、天城は新京にある「満映」の撮影用大スタジオにいた。暗幕に閉ざされた内部では、日本軍の英知を結集して超重戦車を秘密裡に開発中だったのだ。驚愕の天城はこの超重戦車を擁する特別編成隊の隊長に任命される。重量120トン、装甲200ミリ、ナチスドイツ開発の秘密兵器を搭載した「イカヅチ」はついに満蒙の大地へ突撃を開始した。
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