著者 : 宇佐見りん
かかかか
うーちゃん、19歳。 母(かか)も自分も、もう抱えきれん。 選考委員・町田康、村田沙耶香、震撼。 痛みと切なさを描く20歳の才器、第56回文藝賞受賞作。 19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。 脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位……自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へと旅立つーー。 未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。 痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。 人間の気分、気持ちが恐ろしいほど正確に文章化されている。そしてそれが何度も人間存在そのものに迫って胸を衝かれる。 ーー町田康 この作者は、書くことの呪いにかかっている。それは、信頼できる、「作家」としての呪いだ。 ーー村田沙耶香 <著者略歴> 1999年、静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生。2019年、第56回文藝賞を受賞。
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