著者 : 安曇潤平
霧の山道で背後からついてくる操り人形のような女性、登山中になぜか豹変した友人の態度、死ぬ人の顔が見えるという三枚鏡。登山者や山に関わる人々から聞き集めた怪異と恐怖を厳しい自然とともに活写する。
木陰に立ち並ぶ数十体の地蔵の、ある法則に気づいた瞬間に戦慄する「顔なし地蔵」。風雨と霧に閉ざされたヒュッテの乾燥室にうずくまる青い雨具の男の正体が切ない「乾燥室」、奇妙なほど行く先々の山で遭遇する女性の言動が謎と不安を誘う「ポニーテールの女」他。避難小屋、山奥のトンネル、テントーー心身ともに強靭な山男たちを震撼させる、恐ろしくも不可解なできごとを山の霊気とともにつづる。文庫オリジナル作品2篇を収録。
山男を死に誘ったのは、怪異なのか、山の怒りなのか、それとも自身への過信なのか…… 山でしか起こり得ない人と人の出会い、生きる者と死者の思いをつなぐものーー。恐ろしくも心ゆさぶる山の怪異。 冬の雪山で、小さな避難小屋の静寂を破るけたたましいノックの音と叫び声。だが、その意味を理解した瞬間、恐怖が襲いかかる「雪山の叫び」。雪の大汝山で下着一枚という異様な姿で発見された男性の遭難遺体。残された日記の最終ページに戦慄する「最後の日記」。数々の奇跡的な生還を遂げ、”おれは不死身なんだ”とうそぶく男が屏風岩の登攀で陥った危機ーー彼の本音が哀切な「不死身の男」他、山の怪異を自然の風景描写を織り交ぜながらつづる21篇を収録。現実と地続きでありながらも、異界としての山の風景と霊気を堪能できる、山岳怪談の決定版。
赤いヤッケを着た遭難者を救助したため遭遇した怪異、山の空き地にポツリと置かれた大きなザックから夜出てくるモノ……自らも登山を行う著者が、山で訊き集めた数々の怪談実話。新たな書き下ろし2篇収録。
閉ざされた無人の山小屋で起きる怪異、使われていないリフトに乗っていたモノ、山道に落ちていた小さな赤い靴の不思議。登山者や山に関わる人々から訊き集めた、美しき自然とその影にある怪異を活写した恐怖譚。
霧の山道で背後からついてくる操り人形のような女性、登山中になぜか豹変した友人の態度、「死ぬ人の顔が見える」という三枚鏡……。登山者や山に関わる人々から聞き集めた怪異と恐怖を厳しい自然とともに活写する。
冬の閉ざされた山小屋の一室で、初夏の緑が瑞々しい登山道で、山の怪は突如として牙を剥く。遺された無念の思いが、美しさに目を奪われた人々の心の隙に入り込む。登山者を異界へと導く「山」の霊気に満ちた怪異譚。
山岳怪談実話の名手が放つ、著者自ら訊き集めた極上の山の怪異譚。自分が体験した話、山仲間から聞いた話、山麓の呑み屋で仕入れた話…。渓流釣りや山菜狩り、キノコ狩りなど、登山以外の山の達人から聞き集めた怪談も。山を愛する著者ならではの山岳描写豊かな全21編。文庫化にあたり書き下ろし「ポニーテールの女」を収録。
自らも登山を行う、怪談専門誌『幽』で活躍する著者が山で訊き集めた数々の怪談実話。真夜中の野営地、吹雪のテント…外界でありながら閉ざされた地となりうる、山という「異界」の怖さに背筋が凍る珠玉の短篇集。