著者 : 寺地はるな
月のぶどう月のぶどう
大阪で曽祖父の代から続くワイナリーを営み、発展させてきた母が亡くなった。美しく優秀な母を目標にしてきた姉の光実と、逃げてばかりの人生を送ってきた弟の歩は、家業を継ぐ決意をする。四季の巡りの中、ワインづくりを通し、自らの生き方を見つめ直していく双子の物語。
大人は泣かないと思っていた大人は泣かないと思っていた
隣の老婆が庭のゆずを盗む現場を押さえろと父から命じられた翼。ところが、捕らえた犯人もその目的も、まったく予想外でー(「大人は泣かないと思っていた」)。バイト先のファミリーレストランで店長を頭突きし、クビになったレモン。その直後、母が倒れたと義父から連絡が入って…(「小柳さんと小柳さん」)他、全7編。人生が愛おしくなる、魔法のような物語。
ミナトホテルの裏庭にはミナトホテルの裏庭には
祖父から大正末期に建てられた宿泊施設「ミナトホテル」の裏庭の鍵捜しを頼まれた芯輔。金一封のお礼につられて赴いた先は、「わけあり」のお客だけを泊める、いっぷう変わったところだった。さらには失踪したホテルの猫も捜す羽目になり…。温かな涙に包まれる感動作。
架空の犬と嘘をつく猫架空の犬と嘘をつく猫
「あんたは社会にとって、なんの役にも立ってない子」そう言われて育った羽猫家長男の山吹。だけど彼が大人になり、みんなの“嘘”が解かれたとき、本当の家族の姿が見えてくる。今大注目の作家寺地はるなが描く、ちょっと変わった家族小説。これは、それぞれが破綻した嘘をつき続けた家族の、素敵な物語ー。
ビオレタビオレタ
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、ひょんなことから雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店だった…。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。