著者 : 寺地はるな
大阪市近郊にある暁町。閉店が決まった「あかつきマーケット」のマスコット・あかつきが突然失踪した。かと思いきや、町のあちこちに出没し、人助けをしているという。いったいなぜー?さまざまな葛藤を抱えながら今日も頑張る人たちに寄りそう、心にやさしい明かりをともす13の物語。
鉢かづき姫、踊る12人のお姫様、ラプンツェル、エンドウ豆の上に寝たお姫様、乙姫、眠り姫ー古今東西の様々なプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたら?人気の女性作家6名が、それぞれ選んだ物語を題材に、時に切なく、時に温かく、時に残酷に紡ぎだした名短編集。
蜂蜜をもうひと匙足せば、あなたの明日は今日より良くなるー。「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生のころ、碧は見知らぬ女の人から小さな蜂蜜の瓶をもらった。それから十六年、三十歳になった碧は恋人の故郷で蜂蜜園の手伝いを始めることに。頼りない恋人の安西、養蜂家の黒江とその娘の朝花、スナックのママをしているあざみさん…さまざまな人と出会う、かけがえのない日々。心ふるえる長篇小説。
コンビを組む二人は違法カジノで働いていたが失敗ばかり。今度は偽宝石売りでも騙した女に騙され無一文に。切羽詰まったハセは商店街にたむろする老人たちを見て閃いた。これからは、年寄りだ。32歳と30歳。崖っぷち男二人。騙すのは、年寄りだ。さびしさは、利用できる。歪んだ愛を抱え、じたばたする悪党コンビ。注目作家が紡ぐ、泣けるバディ小説!!
大阪で曽祖父の代から続くワイナリーを営み、発展させてきた母が亡くなった。美しく優秀な母を目標にしてきた姉の光実と、逃げてばかりの人生を送ってきた弟の歩は、家業を継ぐ決意をする。四季の巡りの中、ワインづくりを通し、自らの生き方を見つめ直していく双子の物語。
時田翼32歳、農協勤務。大酒呑みで不機嫌な父と二人暮らしで、趣味は休日の菓子作り。そんな翼の日常が、庭に現れた柚子泥棒との遭遇で動き出す──。人生が愛おしくなる、大人たちの「成長」小説。
祖父から大正末期に建てられた宿泊施設「ミナトホテル」の裏庭の鍵捜しを頼まれた芯輔。金一封のお礼につられて赴いた先は、「わけあり」のお客だけを泊める、いっぷう変わったところだった。さらには失踪したホテルの猫も捜す羽目になり…。温かな涙に包まれる感動作。
「あんたは社会にとって、なんの役にも立ってない子」そう言われて育った羽猫家長男の山吹。だけど彼が大人になり、みんなの“嘘”が解かれたとき、本当の家族の姿が見えてくる。今大注目の作家寺地はるなが描く、ちょっと変わった家族小説。これは、それぞれが破綻した嘘をつき続けた家族の、素敵な物語ー。
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。
古今東西に伝わるさまざまなプリンセス・ストーリーを、現代に置き換えたとしたら、どんな物語になるのでしょうか? 人気の女性作家六人が、それぞれが選んだ題材をもとに物語を書き下ろすアンソロジー集。女性ならではの優しさあり、はたまたぴりりとする毒もあり、個性豊かで小気味良い物語が集まりました。 寺地はるな×鉢かづき姫 飛鳥井千砂×踊る12人のお姫様 島本理生×ラプンツェル 加藤千恵×エンドウ豆の上に寝たお姫様 藤岡陽子×乙姫 大山淳子×眠り姫