著者 : 山本由実
野分けのあとに野分けのあとに
母への深く激しい怒りと憎しみから、気づいたときには食べることをやめていた。すべてが、どうでもよかったのだ。 私を救い上げてくれたのは、西丹沢の厳しくも美しい自然と、確かな手応えをもたらす土だった。 精一杯にならなければ生きていけない農的暮らしは素晴らしかった。 そんな中でもいつも、母のことが重く引っかかっていた。一生このまま、母を憎んだまま、私は生きていくのか……。 苦しみの果てに彼女が見いだした一筋の光とは。 第三回「暮らしの小説大賞」受賞作。
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